何か映画が見たくて、なんとなくタイトルから気になっていたこれを。
友達も面白いと言っていたし。
「アルプススタンドのはしの方」というタイトルからも分かる通り、舞台は甲子園。
ただ、球児は1人も映らない。
あくまで、アルプススタンドのはしの方で少し冴えない4人の生徒がグダグダと話すだけのような映画。
なんだか舞台っぽいな、と思ったらエンドロールで原作に「演劇部」の文字が。納得。
最高の映画だった。
大好き。
第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞となる文部科学大臣賞を受賞し、全国の高校で上演され続けている兵庫県立東播磨高校演劇部の名作戯曲を映画化。夏の甲子園1回戦に出場している母校の応援のため、演劇部員の安田と田宮は野球のルールも知らずにスタンドにやって来た。そこに遅れて、元野球部員の藤野がやって来る。訳あって互いに妙に気を遣う安田と田宮。応援スタンドには帰宅部の宮下の姿もあった。成績優秀な宮下は吹奏楽部部長の久住に成績で学年1位の座を明け渡してしまったばかりだった。それぞれが思いを抱えながら、試合は1点を争う展開へと突入していく。2019年に浅草九劇で上演された舞台版にも出演した小野莉奈、⻄本まりん、中村守里のほか、平井亜門、黒木ひかり、目次立樹らが顔をそろえる。監督は数々の劇場映画やビデオ作品を手がける城定秀夫。
引用:映画.com
どうやら甲子園の一回戦に応援で来させられた4人。
”青春”している球児に対しやっかみもありそうな4人。いわゆる「教室の隅っこ」にいるような4人が、甲子園という場所でもはしの方に集まってしまう。
映画はその4人の中の安田さんと田宮さんの2人の会話から始まる。
そこからすでに面白い。
野球の詳しくない2人がとんちんかんなことを話すだけ。そんなコメディパートからなんだかすごく良いテンポ感と女優さん2人の自然な演技のかわいらしさ、そしてやりとりの楽しさからして最高に楽しい。
そこに、元野球部の藤野くんと学年トップの宮下さんが加わり、さらにどんどんと面白くなっていく。
やりとりの雰囲気はとても自然(僕の高校生時代はとても古い話なので現代的かどうかは不明)でついにっこりしたり、つい笑い声を漏らしてしまったり。
そして、さらに熱血教師である厚木先生や、ブラバンの久住さん等も話に少しづつ関わってくるものの、話が大きく展開していく様子はなかなかない。
それでも、全く飽きることもなくずうっとのめり込んで、そしてめちゃめちゃ笑っちゃってた。
少しづつ、安田さんと田宮さんのぎこちなさの理由が分かってきたり、藤野くんの野球部に対する複雑な想いや、宮下さんの野球部のエース・園田くんに対する想いなんかが見えてきて少しづつ話は動いていく。
いや、動いていくのは話というよりも、4人の気持ち。
4人の心情を思うとラスト半分くらいはずうっと泣いてしまっていた。
ラストシーンもあまりに素晴らしすぎる。
原作と脚本がとにかく素晴らしい。
思い出してたらまだまだ笑ってしまうシーンや、涙腺が刺激されるシーンがたくさん。
部活もの、ということもあり思い出したのは「桐島、部活やめるってよ」。
「桐島、部活やめるってよ」も名作だったけど、「アルプススタンドのはしの方」も最高の大傑作。
今年ベスト。
これ以上の作品なかなか出てこないだろうな。人生のベスト10本にも入る。