Twitterで募集したオススメ映画第12弾。
大好きな作中作もの。
楽しかった。良き。良き。
フランソワ・オゾン監督が、文才あふれる少年と彼に翻弄される国語教師が繰り広げる心理戦を描いた作品。かつて作家を目指していた高校教師ジェルマンは、生徒たちの作文を採点している最中、男子生徒クロードが書いた文章に目を留める。それは、あるクラスメイトとその家族を皮肉につづったものだった。クロードの感情あふれる文章に危うさを感じながらも、その才能にひきつけられたジェルマンは、クロードに小説の書き方を指導していくが……。
引用:映画.com
とても文学的な映画。
もちろん、扱っている題材が文学だから、ということもあるんですけど作中作の見せ方やセリフ回し、登場人物のキャラクター性なんかもとても文学的な匂いがプンプンしている。
文学的な映画と言っても、全く難解さは無いし、雰囲気映画でも無い。
しっかりとしたエンタメ作品でありながら、派手なシーンはないのに見逃せないシーンばかり。
江戸川乱歩を思い出しながらみていた。
乱歩作品のような幻想感と、エンタメ感と(文学的な意味での)くだらなさが同居した名作。
映像作品での作中作だと多いのはやはり、映画内で映画を撮影しているようなもの(有名どころだと「カメラを止めるな!」のような)になりがち。
それは小説でもそうですが。
本作「危険なプロット」では、映画内で小説を書いているという、だけで構造自体はとてもありがちな作中作もの。
でも、それが今までなかなか他の映画でやられていないのは、やはり執筆と映画の相性の悪さ、なんだろうと思う。
本作では、小説内の世界も普通に映像として変な加工もせずに見せているだけ。だが、時折作者である、クロードや、その教師であるジェルマンが時折そこに干渉してくるものの、過剰にそういうことをしていないのもとても好み。
ジェルマンの文学講座もとても楽しいし、様々な下世話な関係もごちゃごちゃしつつで、小説内だけでなく、きちんと現実世界のストーリーをしっかりと描いているのも、良き良き。
クロードが実際にラファの家に行かないと小説が書けないという設定がとてもうまく働いてる。
ジェルマンがとてつもない美少年のクロードのことを妻に聞かれた時に「特徴のない普通の子」と言っていて、それも後々、なにかいやらしい想いでもあったんだろうな、と後から想像できる感じはまさしくミステリーだし、まさしく文学。
そういう思わせぶりな作り方も素晴らしい。
繰り返しになりますが、複雑な構成にも関わらずややこしい部分など微塵もなく、とても楽しく見れるようになっている。そしてそれがとても上質なもの。
良き。
とても良き。