梨木香歩原作の児童文学の大傑作。
原作が好きで好きでしょうがなくて、怖くて映画は見てなかったんだけど、友達が「すごい感動した」とのことで思い切って見てみることに。
学校へ行くことが苦痛になってしまった中学生のまいは、母に勧められて祖母の家に身を寄せることに。母とまいが”西の魔女”と呼ぶイギリス人の祖母は、大自然に囲まれた一軒家で穏やかな生活を送っている。祖母との田舎暮らしは閉ざされたまいの心を少しずつ解きほぐしていく。梨木香歩のロングセラー小説を「8月のクリスマス」の長崎俊一監督のメガホンで映画化。祖母役に往年の名女優シャーリー・マクレーンの娘サチ・パーカー。
引用:映画.com
ストーリーはそりゃ最高。
原作を読んだのも大分前でいまいち覚えてないけど、それでもやっぱり最高。
おばあちゃん役のサチ・パーカーもターシャ・テューダーを意識しすぎな感じはあるものの結構なハマリ役なんじゃなかろうか。
主人公のまいも、もうちょっとだけ表情豊かでいいような気はするけど、どこかコミカルでかわいらしさもあってとても良き。
なのに、もったいない。
演出で足を引っ張っている。
とにかく気になったのが美しい風景を美しく見せてもらえない。
どこか暗く、彩度が低い。
まいの心象を表して暗めで地味な色彩だったりすればそれはもちろんいいことなんだけど、それなら美しい情景・美しい情景はもっと美しく見せてくれないと。
最初の雨の中車で走るシーンからずっとその暗い画面のまま。
きれいなものをきれいに見せられないのはもったいない。
そのせいで、まいの特徴である「感受性の豊かさ」というのも画面のこちら側に全く伝わってこない。
結局監督が大人なんだよね。子供の心をすでに持っていないのが原因じゃないかな。
地味な画面に対して演出は臭い。
スローモーションやぼかしなどのエフェクトの使い方や過剰なBGM。
ちょっとくどく感じちゃうのは、原作小説のサラっとした雰囲気には合わない。
総じてもったいない。
それでも、タイトルから「この素敵なおばあちゃんは死んじゃうのか」と思いながら見ていくのは、すごく涙腺を刺激するし、そのおばあちゃんの「死ぬことは魂が体から離れて自由になることだ」という死生観はやはり素晴らしいものだと思う。
愛されることの素晴らしさ。
人を憎むことの素晴らしさ。
人を認めることの素晴らしさ。
そんな話。
素晴らしい話なので、できれば原作を読んで欲しい。