お友達が好きっていうのを借りて。
確かに面白い!
パッケージからオシャレなドンパチものを想像してたら想像以上に重いテーマを扱った社会派映画だった。
そして、面白い。最高だ。
原作は、初めてスラムの住民の視点からスラムの現実を描いた小説としてブラジルでベストセラーになった、パウロ・リンスの同名小説。これが第3作となる監督フェルナンド・メイレレスは、55年、ブラジル生まれ。主要登場人物60人、脇役150人、エキストラ2000人の群像劇で、60年代後半から80年代までのある街の変貌を描く。実際の街でロケ、主要人物のほとんどは、舞台となった街の近隣に住むアマチュア俳優たちが演じている。
引用:Amazon
最後に出る”事実に基づいた物語”の一文が一番のネタバレだし、一番の衝撃を与える。
スラム街ってこんななのか。
なんで、銃と薬だけこんなに潤沢にあるんだ。
なんで、こんなにも殺意で溢れてるんだ。
テーマはとても重いけど、映画自体に重苦しい空気は意外と少ない。
やけに簡単に「殺す」というセリフが飛び交い、いとも簡単に人が死んで行くことが現実として受け入れられていないんだろうか。
そうだとしたら、僕は馬鹿だ。
この映画の軽妙さはご機嫌なBGMだったり、テンポのいい構成だったり、カメラワークの面白さやらなんやら、からくるものじゃないかな。
数少ない普通の人間であるブスカペの視点で物語は進む。
ブスタペには感情移入ができる。
ちゃんと恋をして、ちゃんと悪すぎない程度で悪いこともして、ちゃんと夢を持っている。
そんなブスタペがカメラマンとして花開いて行くのかと思ったらそこで映画は終わり。
主人公はリトル・ゼだったのか。
リトル・ゼは怖い。さすがに悪すぎる。
ここまで悪いやつなのに、人間臭さがすごい。
なんだろうな、ゴジラっぽい。圧倒的に破壊していくせいで、同じ人間とは思えないんだけど、ベネとのやりとりや、新聞に二枚目マネしか出ていないって怒ったり、って人間らしいところ見せちゃうからかわいく見えちゃう。ギャップ萌え。
そんなリトル・ゼも最後にはガキ軍団に裏切られおしまい。
お似合いの最後だ。
神の街ではこのあと、このガキ軍団がまたたくさんの命を奪っていくだけなんだろう。
負の連鎖は簡単には終わらない。
それでも、ブスタペのように夢に向かう人や、ベネのように恋をしておしゃれに目覚める人や、クラブで踊る人など、生に溢れた人たちも出てくるんでしょうね。