深水黎一郎「五声のリチェルカーレ」

なんだこれ、面白い!
すごいぞ深水黎一郎!

あらすじ

昆虫好きの、おとなしい少年による殺人。その少年は、なぜか動機だけは黙して語らない。家裁調査官の森本が接見から得たのは「生きていたから殺した」という謎の言葉だった。無差別殺人の告白なのか、それとも―。少年の回想と森本の調査に秘められた“真相”は、最後まで誰にも見破れない。技巧を尽くした表題作に、短編「シンリガクの実験」を併録した、文庫オリジナル作品。
引用:Amazon「五声のリチェルカーレ」

ネタバレありの感想

やられた!
騙された!
気持ち良い!!
深水黎一郎は「最後のトリック」を読んだ時は「嫌いじゃないけど、さすがに・・・」って感じで、そこまでハマってなかった。その後、「人間の尊厳と八〇〇メートル」が本当に素晴らしいミステーで一気に評価変わりました。そして、これもすごくいい。
お上手。お見事。

冒頭から、犯人の少年はすでに逮捕されており、家裁調査員の森本とのやりとりを中心に回想シーンを挟むことによって段々と真実が見えてくる構成によって、叙述トリックものだろう、というのは簡単に想像がつきます。

そんな中、
「誰が」殺したのか。
「誰を」殺したのか。
「何故」殺したのか。
読者はどこに集中していいかわからないまま読み進めていくことになってしまい、下手な作家の場合、こんな風に「見えづらい」小説は「読みづらく」感じてしまって、楽しめないことが多いと思うんだけど作者の力量なんでしょうけど、サクサク読めて、とても読みやすい。
かと言って軽いわけでもなく、ちゃんと緊張感があって、どんどん物語にのめり込んでいきます。

僕は「誰が」に関しては完全に「昌晴」だと勘違いさせられてて、なので「誰を」と「何故」が鍵の小説なんだろうな、と思って読み進めてました。

2017年 年間ベスト

  1. 村田沙耶香「殺人出産」
  2. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  3. ルイス・サッカー「穴」
  4. 梓崎優「叫びと祈り」
  5. 舞城王太郎「煙か土か食い物」
  6. 舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」
  7. 柾木政宗「N0推理、NO探偵?」
  8. 城平京「虚構推理」
  9. 辻村深月「名前探しの放課後」
  10. 三島由紀夫「命売ります」
  11. 森博嗣「すべてがFになる」
  12. 米澤穂信「満願」
  13. 豊島ミホ「底辺女子高生」
  14. 江戸川乱歩「江戸川乱歩名作選」
  15. 太宰治「人間失格」
  16. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  17. 深水黎一郎「五声のリチェルカーレ」
  18. 麻耶雄嵩「貴族探偵」
  19. 朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」
  20. 喜国雅彦「本棚探偵の生還」
  21. 森博嗣「冷たい密室と博士たち」
  22. 西澤保彦「殺意の集う夜」
  23. 野村美月「文学少女と死にたがりの道化」
  24. 森絵都「宇宙のみなしご」
  25. 湊かなえ「山女日記」
  26. 霧舎巧「名探偵はもういない」
  27. 泡坂妻夫「湖底のまつり」
  28. 降田天「女王はかえらない」
  29. 森絵都「気分上々」
  30. 辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」
  31. 野村美月「文学少女と飢え渇く幽霊」
  32. 辻村深月「光待つ場所へ」
  33. エドガー・アラン・ポー「黒猫」
  34. 歌野晶午「そして名探偵は生まれた」
  35. 法条遥「忘却のレーテ」
  36. 折原一「グランドマンション」
  37. 辻村深月「ロードムービー」
  38. 瀬尾まいこ「強運の持ち主」
  39. 志駕晃「スマホを落としただけなのに」
  40. 桐山徹也「愚者のスプーンは曲がる」
  41. 峰月皓「七人の王国」
  42. 湊かなえ「母性」
  43. 飯田譲治 梓河人「盗作」
  44. 伊坂幸太郎「残り全部バケーション」
  45. 折原一「遭難者」
  46. 折原一「螺旋館の殺人」
  47. 芦沢央「罪の余白」
  48. 井上夢人「魔法使いの弟子たち」
  49. ジェフリー アーチャー「百万ドルをとり返せ!」
  50. 伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」
  51. 竹吉優輔「襲名犯」
  52. 湊かなえ「境遇」
  53. 長谷川夕「僕は君を殺せない」
  54. 早坂吝「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」
  55. 蘇部健一「六枚のとんかつ」