三島由紀夫「命売ります」

2年ほど前から今更やけに売れてる「命売ります」。
僕もこれ読んだことなかったんですけど、何これ、マジで面白い。

あらすじ

目覚めたのは病院だった、まだ生きていた。必要とも思えない命、これを売ろうと新聞広告に出したところ…。危険な目にあううちに、ふいに恐怖の念におそわれた。死にたくない―。三島の考える命とは。
引用:楽天ブックス

ここまで凝縮されたあらすじだと純文学みたいにも思えますが、帯にも書いてあったように「極上エンタメ小説」です。

感想

これまでに三島由紀夫の作品はそんなに多く読んだわけではないのですが、印象としては「美しい」作家という印象でした。
文章はもちろん、情景の美しさに優れた作品を書く人という印象。
「金閣寺」なんかその最たるものなんだろうと思うんです。

それがこの「命売ります」では、とにかくエンタメ。
作者である三島由紀夫自身も自決をし、本人は成功してしまったわけですが、「命売ります」の主人公である「羽仁男」は生に対して執着していないにも関わらず失敗してしまう。

自殺に失敗した羽仁男は新聞広告で自分の命を売りに出し、それを買いに来た客の依頼で様々な事件に巻き込まれながらも生き長らえてしまう。
その事件の数々とそれをこなしていく羽仁男がとにかく面白い。
そして、事件に巻き込まれるというのは、人生に巻き込まれるということで、様々な登場人物と深く関わって行くことになります。
ミステリー要素もあり、サスペンス要素もありつつももちろん、文章は研ぎ澄まされていてヒリヒリとした美しさを持っている。

この作品が発表された2年後に三島由紀夫は自決してしまい、三島由紀夫の死生観とか考えると色々深読みできるんでしょうけど、そういうのいらないです。
ただ、単純にこの小説の世界に浸ればいいです。
誰が書いたとか、いつ書かれたとか全部無視して楽しめる。
娯楽としての小説として、一個の完成系だと思います。

最高。

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