舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」

太宰治、辻村深月と並んで大好きな作家の一人、舞城王太郎。
下品で暴力的で理不尽な作家。
そんな舞城王太郎の「恋愛小説」。
面白いわけがないし、面白くないわけがない。
とにかく最高だ。

あらすじ

愛は祈りだ。僕は祈る。僕の好きな人たちに皆そろって幸せになってほしい。それぞれの願いを叶えてほしい。温かい場所で、あるいは涼しい場所で、とにかく心地よい場所で、それぞれの好きな人たちに囲まれて楽しく暮らしてほしい。最大の幸福が空から皆に降り注ぐといい。「恋愛」と「小説」をめぐる恋愛小説。
引用:楽天ブックス

あらすじというか、ほとんど(「「恋愛」と「小説」をめぐる恋愛小説。」以外)書き出しなんですけど、ちょっとこの書き出し完璧すぎませんか?
最高すぎませんか?

あらすじって誰が書いてるのか知らないけど、ひどいものも多いし、こんな風に書き出し書いてくれるといいな。
小説ってもちろん物語も大事だけど、文体やテンポなんかもっと大事だと思うんだよね。
そこが合わないとそもそも読めないし。

感想

「世界の中心で、愛をさけぶ」などの、この時代に流行っていた「恋愛小説」へ、真っ向から中指立てた舞城王太郎なりの「恋愛小説」。

僕の好きな人たちに皆そろって幸せになってほしい。

なんて、まさしくそれで、この小説が発表された時期に流行っていた恋愛小説のうちの多くは「感動のために」登場人物を殺していて(残念ながら今もそういう物語は多くて)、それは快楽殺人者のそれと大差ない感覚なのかもしれない。なんてことまで思ってしまった。

舞城王太郎が言いたいのはきっと「愛する人の死はもっと理不尽」である、ということなんじゃないだろうか。
舞城王太郎の考えを理解しようとするなんて土台無理なことなのかもしれないけれど。
それでも、僕が舞城王太郎の作品を読んだ時に感じる、高揚感や一体感。そしてそこからくる不安感や安心感。
あくまで一方的にではあるけれど、僕は舞城王太郎に親近感を覚えてしまっている。
そして、大きな壁も感じている。
この相反する感覚こそが文学であるんだと思うし、この感覚を味わいたくて僕は文学を読んでいる。

舞城王太郎の「恋愛感」というと安っぽくなりすぎるけど、確かにそれがつまっているし、それに舞城王太郎の小説への愛がたっぷり詰まった1冊。

2017年 年間ベスト

  1. 村田沙耶香「殺人出産」
  2. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  3. ルイス・サッカー「穴」
  4. 梓崎優「叫びと祈り」
  5. 舞城王太郎「煙か土か食い物」
  6. 舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」
  7. 柾木政宗「N0推理、NO探偵?」
  8. 城平京「虚構推理」
  9. 辻村深月「名前探しの放課後」
  10. 三島由紀夫「命売ります」
  11. 森博嗣「すべてがFになる」
  12. 米澤穂信「満願」
  13. 豊島ミホ「底辺女子高生」
  14. 江戸川乱歩「江戸川乱歩名作選」
  15. 太宰治「人間失格」
  16. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  17. 深水黎一郎「五声のリチェルカーレ」
  18. 麻耶雄嵩「貴族探偵」
  19. 朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」
  20. 喜国雅彦「本棚探偵の生還」
  21. 森博嗣「冷たい密室と博士たち」
  22. 西澤保彦「殺意の集う夜」
  23. 野村美月「文学少女と死にたがりの道化」
  24. 森絵都「宇宙のみなしご」
  25. 湊かなえ「山女日記」
  26. 霧舎巧「名探偵はもういない」
  27. 泡坂妻夫「湖底のまつり」
  28. 降田天「女王はかえらない」
  29. 森絵都「気分上々」
  30. 辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」
  31. 野村美月「文学少女と飢え渇く幽霊」
  32. 辻村深月「光待つ場所へ」
  33. エドガー・アラン・ポー「黒猫」
  34. 歌野晶午「そして名探偵は生まれた」
  35. 法条遥「忘却のレーテ」
  36. 折原一「グランドマンション」
  37. 辻村深月「ロードムービー」
  38. 瀬尾まいこ「強運の持ち主」
  39. 志駕晃「スマホを落としただけなのに」
  40. 桐山徹也「愚者のスプーンは曲がる」
  41. 峰月皓「七人の王国」
  42. 湊かなえ「母性」
  43. 飯田譲治 梓河人「盗作」
  44. 伊坂幸太郎「残り全部バケーション」
  45. 折原一「遭難者」
  46. 折原一「螺旋館の殺人」
  47. 芦沢央「罪の余白」
  48. 井上夢人「魔法使いの弟子たち」
  49. ジェフリー アーチャー「百万ドルをとり返せ!」
  50. 伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」
  51. 竹吉優輔「襲名犯」
  52. 湊かなえ「境遇」
  53. 長谷川夕「僕は君を殺せない」
  54. 早坂吝「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」
  55. 蘇部健一「六枚のとんかつ」