太宰治「人間失格」

あまりにも有名で、あまりにも名作。
読む時の自分の精神状態によって受け取りかたがいろいろ変化してしまう、不思議な小説。

あらすじ

「恥の多い生涯を送って来ました。自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです」青森の大地主の息子であり、廃人同様のモルヒネ中毒患者だった大庭葉蔵の手記を借りて、自己の生涯を壮絶な作品に昇華させた太宰文学の代表作品。
引用:Amazon

ネタバレありの感想

構成が本当に見事。

私は、その男の写真を三葉、見たことがある。

この三葉(3枚)の写真というのが
・幼年時代
・高等学校時代
・としの頃がわからない。頭はいくぶん白髪のようである。
の頃の写真で、それぞれ「第一の手記」「第二の手記」「第三の手記」それぞれを象徴しています。
この写真の説明もすごいゾクゾクきて、引き込まれる。

精神状態がすごくいい時に「人間失格」をよむと喜劇のように感じられて面白い。
精神状態があまりよくない時によむと、葉蔵をやけに身近に感じて「自分みたいな人間は他にもいるんだ。」と感じられたり、「自分は葉蔵よりはまだまだ、まともだ。」と思えたり。
どちらにしても、救われるんですよ。
物語としては救いがないんですけど。
僕は救われる。不思議なものだ。

確かに読んですごく落ち込むこともあるんだけど、それでもやっぱり「すごい小説を読んだ」という感覚は読書好きとしては、プラスに働くし、僕にとってはどうあっても、「いい」小説。

とは言え、ダメージは受けるんですけど。

もちろん、いろいろな出版社から、いろいろな表紙で出てます。
圧倒的に、新潮文庫の表紙(デスノートじゃないやつ)が好きなんですけど、アマゾンで出てこない?
そんな馬鹿な。

とにかく、最高。
これから先の人生でも、何度も読むことになるんでしょうね。
玉川上水に行かない限り。

2017年 年間ベスト

  1. 村田沙耶香「殺人出産」
  2. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  3. ルイス・サッカー「穴」
  4. 梓崎優「叫びと祈り」
  5. 舞城王太郎「煙か土か食い物」
  6. 舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」
  7. 柾木政宗「N0推理、NO探偵?」
  8. 城平京「虚構推理」
  9. 辻村深月「名前探しの放課後」
  10. 三島由紀夫「命売ります」
  11. 森博嗣「すべてがFになる」
  12. 米澤穂信「満願」
  13. 豊島ミホ「底辺女子高生」
  14. 江戸川乱歩「江戸川乱歩名作選」
  15. 太宰治「人間失格」
  16. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  17. 深水黎一郎「五声のリチェルカーレ」
  18. 麻耶雄嵩「貴族探偵」
  19. 朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」
  20. 喜国雅彦「本棚探偵の生還」
  21. 森博嗣「冷たい密室と博士たち」
  22. 西澤保彦「殺意の集う夜」
  23. 野村美月「文学少女と死にたがりの道化」
  24. 森絵都「宇宙のみなしご」
  25. 湊かなえ「山女日記」
  26. 霧舎巧「名探偵はもういない」
  27. 泡坂妻夫「湖底のまつり」
  28. 降田天「女王はかえらない」
  29. 森絵都「気分上々」
  30. 辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」
  31. 野村美月「文学少女と飢え渇く幽霊」
  32. 辻村深月「光待つ場所へ」
  33. エドガー・アラン・ポー「黒猫」
  34. 歌野晶午「そして名探偵は生まれた」
  35. 法条遥「忘却のレーテ」
  36. 折原一「グランドマンション」
  37. 辻村深月「ロードムービー」
  38. 瀬尾まいこ「強運の持ち主」
  39. 志駕晃「スマホを落としただけなのに」
  40. 桐山徹也「愚者のスプーンは曲がる」
  41. 峰月皓「七人の王国」
  42. 湊かなえ「母性」
  43. 飯田譲治 梓河人「盗作」
  44. 伊坂幸太郎「残り全部バケーション」
  45. 折原一「遭難者」
  46. 折原一「螺旋館の殺人」
  47. 芦沢央「罪の余白」
  48. 井上夢人「魔法使いの弟子たち」
  49. ジェフリー アーチャー「百万ドルをとり返せ!」
  50. 伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」
  51. 竹吉優輔「襲名犯」
  52. 湊かなえ「境遇」
  53. 長谷川夕「僕は君を殺せない」
  54. 早坂吝「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」
  55. 蘇部健一「六枚のとんかつ」