最果タヒ「渦森今日子は宇宙に期待しない」

最果タヒさんなので面白いだろう、とは思っていたものの、表紙が西島大介さんなのでちょっと避けていた。
西島大介さんは大好きな漫画家だし、イラストレーターとしても最高に大好き。サインも持っているくらい。
だが、「陽だまりの彼女」や「空想少女は悶絶中」や「カンニング少女」など彼が表紙を手掛けた小説がことごとく面白く無い……
そんなことで避けていましたが、「最果タヒさん×新潮文庫nex」という力を信じて読むことに。

よかった。ジンクス打ち破った。おもしろかった!

あらすじ

私は、私であること、諦めないでいたい。渦森今日子、17歳。女子高生で、アイスが好きな、宇宙人。最後で「え?」となったかもだけど、私も、私の友達(岬ちゃん、柚子ちゃん)も、そんなことは気にせず、部活動、体育祭、夏合宿、と毎日を突っ走る。でも、なんだろう。楽しいのに、面白いのに、もやもやする。私が女子高生だから? それとも、宇宙人だから? この“痛み”に、答えはあるのーー? ポップで可愛い、青春小説の新地平。
引用: 出版社より

ネタバレありの感想

主人公が宇宙人の青春もの。
宇宙探偵部なんてフィクション的でキャッチーな部活動やライトノベル的なキャラクター達。
とてもポップでバタバタとしてコメディー。そしてちょっとラブコメも入れつつ。
なんてこれぞ現在の青春小説!という勢いが心地よい。

どうしたって「涼宮ハルヒ」を思い出したりしてしまうが、パクリだとか、オマージュだとか感じることはなかった。
最果タヒさんがどう考えていたかはわからないが、(当たり前だが当たり前的に)別の作品だった。
逆にまた「涼宮ハルヒ」読みたくなって買ったくらい、嫌な感じは無し。

筆力もさすがの最果タヒさん。
特に言葉使いのセンスはさすが。
キャラクター達の個性は強いものの、不必要な感じは無いというか、不自然じゃない。
文体とのバランスが奇跡的なんだと思う。

宇宙人といえども人間だよな、と思わされたり、ちょっとした友情にウルッときたり、あぁ、これを10代の時に読みたかった。
良き良き。

2021年 年間ベスト

  1. 辻村深月「琥珀の夏」
  2. 辻村深月「図書室で暮らしたい」
  3. 豊島ミホ「神田川デイズ」
  4. 周木律「伽藍堂の殺人 〜Banach-Tarski Paradox〜」
  5. 竹宮ゆゆこ「応えろ生きてる星」
  6. 最果タヒ「渦森今日子は宇宙に期待しない」
  7. 芦沢央「いつかの人質」
  8. 周木律「眼球堂の殺人 〜The Book〜」
  9. 周木律「鏡面堂の殺人 〜Theory of Relativity〜」
  10. 綾瀬まる「やがて海へと届く」
  11. 麻耶雄嵩「螢」
  12. 周木律「五覚堂の殺人 〜Burning Ship〜」
  13. 周木律「大聖堂の殺人 〜The Books〜」
  14. 葵遼太「処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな」
  15. 塔山郁「人喰いの家」
  16. 浅倉秋成「六人の嘘つきな大学生」
  17. 石川宗生「半分世界」
  18. 周木律「双孔堂の殺人 〜Double Torus〜」
  19. 周防柳「余命二億円」
  20. 桜井美奈「塀の中の美容室」
  21. 周木律「教会堂の殺人 〜Game Theory〜」
  22. 清水カルマ「禁じられた遊び」
  23. 鳥飼否宇「逆説的 十三人の申し分なき重罪人」
  24. 島田雅彦「預言者の名前」
  25. 星新一「天国からの道」
  26. 折原一「灰色の仮面」
  27. 大村あつし「エブリリトルシング」
  28. 倉井眉介「怪物の木こり」