清水カルマ「禁じられた遊び」

ホラー小説。
得意じゃないのに時々読みたくなるのはなんでなんだろう。
表紙がちょうどよく怖そうで気になって購入。
とても読みやすく2日ほどで読了。

それよりも「本のサナギ賞」ってなんぞ。
初めて聞いた。

あらすじ

主人公・伊原直人は、妻の美雪、息子の春翔と共に幸せな生活を送っていた。
しかし、念願のマイホームを購入した矢先、美雪が交通事故で命を落とす。
絶望する直人に対し、春翔は「ママを生き返らせる」と、美雪の死体の指を庭に埋め、毎日熱心に祈りを捧げ出す。

同じころ、フリーのビデオ記者、倉沢比呂子の周囲では
「誰も乗っていないエレベーターが動き出す」「部屋の中にカラスの死骸が突然あらわれる」など奇怪な出来事が次々に起こり始めた。

直人の元同僚である比呂子はかつて、美雪から直人との不倫を疑われていた。
その際も奇怪な現象に悩まされ、精神を病んだ比呂子は、怪奇現象は美雪の持つ不思議な力のせいだ、と確信していた。
過去の経験から、今回も美雪の呪いのせいであると考えた比呂子。しかし、美雪はすでに亡くなっていることを知る。
事態の真相を明かすため、直人の新居を訪ねた比呂子は、そこであまりにも異様な光景を目にする…。
全国の書店員が選ぶ「世に出したい本」最新作は、恐怖が身に迫る本格ホラー。
引用:出版社より

ネタバレありの感想

軽い気持ちで子供に伝えたおまじないのせいで落ちていくように悪い方へ悪い方へ。
この後悔させられる展開はとてもホラー的でいいですよね。

そして不倫を混ぜるのもホラー小説っぽくていいのですが、いかんせん彼らは関係を持っていない。
お互いに意識しているだけ。というのも、なんとなく理不尽さがありつつ、意識している後ろめたさもありつつ、という中途半端で宙ぶらりんな感じもすごく良かった。

「大事な人を蘇らせたい」というのは永遠にテーマにできるいい題材ですね。
それがどんな形でもいいのか。

生霊だとか怨念だとかの説明に少しページ割きすぎていて、そこだけちょっとテンポが悪くなるのは気になりました。
でも、役に立たない霊能力者や全体に蔓延る理不尽さなどとても王道のホラーしていて楽しいですね。
デビュー作でこの筆力というのも良いと思います。
まぁ、いいんじゃない?って感じ。

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