周木律「鏡面堂の殺人 〜Theory of Relativity〜」

”堂”シリーズ6作目。
過去編ということで、沼志郎が初めて手掛けた館「鏡面堂」で起こった過去の事件を紐解いていく。
前作で期待外れ感が強かったが、 本書ではこれぞ”堂”シリーズって感じの読者への挑戦状(実際にそのような記述はないが)があるのが良き。
過去の事件の謎を解きながら、それが現在にどうつながっているのかを考えながら読む。

あらすじ

すべての事件【ものがたり】はここから始まった。謎は原点【ゼロ】に収束するーー鏡の館が写す過去と現在。異形の建築家が手掛けた初めての館、鏡面堂。すべての館の原型たる建物を訪れた百合子に、ある手記が手渡される。そこには、かつてここで起きたふたつの惨劇が記されていた。無明の闇に閉ざされた密室と消えた凶器。館に張り巡らされた罠とWHO、WHY、HOWの謎。原点の殺人は最後の事件へ繋がっていく!

<文庫書き下ろし!>
すべての事件【ものがたり】はここから始まった。
謎は原点【ゼロ】に収束するーー鏡の館が写す過去と現在。

大人気シリーズ、クライマックス!

異形の建築家が手掛けた初めての館、鏡面堂。すべての館の原型たる建物を訪れた百合子に、ある手記が手渡される。そこには、かつてここで起きたふたつの惨劇が記されていた。無明の闇に閉ざされた密室と消えた凶器。館に張り巡らされた罠とWHO、WHY、HOWの謎。原点の殺人は最後の事件へ繋がっていく!
引用:出版社より

ネタバレありの感想

本書から講談社ノベルスでの刊行がなく、文庫の書き下ろしになったそうで、ノベルスで集めていた人はかわいそう。
文庫書き下ろしということが影響しているのかどうかはわかりませんが、これまでのシリーズの中では一番正統な感じのミステリになっています。

前作で退場となった司の悲しみを背負ったままの百合子。
「本格は人間が描けていない」との金言もありますが、「本格」でありつつ「キャラクター小説」である本シリーズ。
こういう場面もしっかりと書いているのはとても良き。

どうやってボウガンを撃ったのか、まではなんとなくわかるものの、矢じり云々はさすがにわからない。
あれが許されるなら氷ってことでもよく無い?って気持ちはしちゃうけど。

シリーズとして、キャラクター小説として、沼四郎の人間らしさなんかが少しづつ見えてきて、なんだか複雑な気持ちになってくる一冊。
そして、次巻がとうとう最終巻。

前作はいまいちだったけど(もしかしたら前作がいまいちだったからこそ)結構楽しい一冊。

2021年 年間ベスト

  1. 辻村深月「琥珀の夏」
  2. 辻村深月「図書室で暮らしたい」
  3. 豊島ミホ「神田川デイズ」
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  7. 芦沢央「いつかの人質」
  8. 周木律「眼球堂の殺人 〜The Book〜」
  9. 周木律「鏡面堂の殺人 〜Theory of Relativity〜」
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  11. 麻耶雄嵩「螢」
  12. 周木律「五覚堂の殺人 〜Burning Ship〜」
  13. 周木律「大聖堂の殺人 〜The Books〜」
  14. 葵遼太「処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな」
  15. 塔山郁「人喰いの家」
  16. 浅倉秋成「六人の嘘つきな大学生」
  17. 石川宗生「半分世界」
  18. 周木律「双孔堂の殺人 〜Double Torus〜」
  19. 周防柳「余命二億円」
  20. 桜井美奈「塀の中の美容室」
  21. 周木律「教会堂の殺人 〜Game Theory〜」
  22. 清水カルマ「禁じられた遊び」
  23. 宿野かほる「ルビンの壺が割れた」
  24. 鳥飼否宇「逆説的 十三人の申し分なき重罪人」
  25. 島田雅彦「預言者の名前」
  26. 星新一「天国からの道」
  27. 折原一「灰色の仮面」
  28. 大村あつし「エブリリトルシング」
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