周木律「伽藍堂の殺人 〜Banach-Tarski Paradox〜」

“堂”シリーズの4作目。
シリーズの起承転結で言えば「転」の作品
これまでのシリーズ、個人的にめちゃめちゃ好きなシリーズなんですけどもその中でも毛色の違う好き、というかもっと素直な気持ちで言える好きな1冊。

あらすじ

堂シリーズはついにここまできたか 解説 村上貴史(ミステリ書評家) 謎の宗教団体・BT教団の施設だった二つの館の建つ伽藍島。リーマン予想解決に関わる講演会のため訪れた、放浪の数学者・十和田只人と天才・善知鳥(うとう)神、宮司兄妹。その夜、ともに招かれた数学者二人が不可能と思われる”瞬間移動”殺人の犠牲となる。秘められた不穏な物語がさらに動く”堂”シリーズ第四弾。
引用:出版社より

ネタバレなしの感想

そもそも「謎の宗教団体・BT教団」。
この一言だけで好み。
いいですよね、謎の宗教団体。
そもそも宗教とミステリーの組み合わせって食い合わせ最高じゃないですか。
その上、瞬間移動ですって!
ようはアリバイトリックなんだろうな、と思うんですけど、それでもその不可能さを表す言葉として”瞬間移動”という言葉を持ってくることにワクワクせざるを得ない。

もうシリーズのお約束となっていることもあって、建物が「回転」することは序盤で名言されます。

ネタバレありの感想

本作も壁の色が怪しいというのはすぐにわかるし、僕は照明を使って色を変えているのかと思ったけどそれは外れ。もっと単純な方法でした。
ともかく、壁の色で部屋を別に見せているのでは?=実は同じ部屋なのでは?
というところまではすぐにわかる。
あとはそれをどうやったのか?
何度も出てきた橋が回転したりして?と思ったのですが外れ。
部屋自体がサイコロのように回転する、という想像以上のスケールのデカさ。

そして何よりエピローグでの驚愕の展開。
その前までの展開が意外と地味な感じだったのですが、まさかこれまで探偵役を務めていた十和田が犯人に「転回」するとは。
本シリーズのテーマである「回転」というのが建物だけでなくキャラクターにも適用されはじめ、シリーズものとして一気に面白くなった。

だが、やはり難点としてはシリーズものとして面白くなっただけで、本書1冊だけで考えた時はさすがにどうよ、って感じではある。

でも、単純に僕はやっぱり本シリーズ最高に大好き。

2021年 年間ベスト

  1. 辻村深月「図書室で暮らしたい」
  2. 豊島ミホ「神田川デイズ」
  3. 周木律「伽藍堂の殺人 〜Banach-Tarski Paradox〜」
  4. 竹宮ゆゆこ「応えろ生きてる星」
  5. 芦沢央「いつかの人質」
  6. 周木律「眼球堂の殺人 〜The Book〜」
  7. 周木律「鏡面堂の殺人 〜Theory of Relativity〜」
  8. 綾瀬まる「やがて海へと届く」
  9. 周木律「五覚堂の殺人 〜Burning Ship〜」
  10. 周木律「大聖堂の殺人 〜The Books〜」
  11. 塔山郁「人喰いの家」
  12. 石川宗生「半分世界」
  13. 周木律「双孔堂の殺人 〜Double Torus〜」
  14. 周防柳「余命二億円」
  15. 周木律「教会堂の殺人 〜Game Theory〜」
  16. 鳥飼否宇「逆説的 十三人の申し分なき重罪人」
  17. 島田雅彦「預言者の名前」
  18. 星新一「天国からの道」
  19. 折原一「灰色の仮面」
  20. 大村あつし「エブリリトルシング」