タイトルに惹かれて購入した初読みの作家さん。
いやはや面白かった。
なんだかすごく得した気分になってしまった。
工務店を営んでいた父親が不慮の交通事故で植物状態になった。次男の次也は父の延命治療を望んだが、長男の一也はそれに異を唱えた。父が死ねば二億円の遺産が兄弟に相続されるのだ。開業資金を急ぎ必要とする兄の説得に、次也は葛藤する。一也の妻も次也にすり寄ってきて悩みを打ち明けてきた。腎臓病を患う息子の治療費が足りないという。そんななか、父の容体が急変、追い詰められた次也は、思いがけない決断を下すが…。
引用:「BOOK」データベースより
タイトルと「命に値段をつける」というテーマからもっと重く、陰鬱としたものを想像(期待)していたが、いい意味で期待を裏切られた。
読んでいて何度か「伊坂幸太郎さんっぽい」と思った。
もちろん誰々っぽいというのが褒め言葉になるとは思っていなくてとても失礼な感想なのはわかっているのですが、語彙が足りない僕のせいです。
なぜ「伊坂幸太郎さんっぽい」と思ったのか。
主人公のちょっと情けない感じや兄の飄々としたキャラクター。そして、うさんくさい関西弁の男など、すごくキャラクターが強いんですよね。
そして、父親の放つ名言の数々。
父親の葬式から物語は始まるだけあって前半はとても湿っぽい雰囲気。
中盤から後半は、なんだか雲行きが少しづつ怪しくなっていき、艶っぽくじっとりとした話が展開していく。
そこからのラストの展開はまさかのどんでん返し。
実はコン・ゲームだった。という驚きの展開。
まさかこういう展開になるとは思っていなかったので気持ちよく騙されてしまった。
思い返すと伏線も結構わかりやすく散りばめられていた。
お金に振り回されたくないな、と思った。
そのためにも普通の生活をキープしなくちゃ。