岡田秀文「黒龍荘の惨劇」

どこかでいい評判を聞いて、何度かチャレンジしては、途中で閉じてた本を、この度えいや、と頑張って読み切ってみた。
ミステリーの世界に政治を持ってこられてしまうのがどうしても苦手なんですよねぇ。。。
あと、最初の謙った語り口もなんだか苦手で。

あらすじ

明治二十六年、杉山潤之助は、旧知の月輪龍太郎が始めた探偵事務所を訪れる。現れた魚住という依頼人は、山縣有朋の影の側近と噂される大物・漆原安之丞が、首のない死体で発見されたことを語った。事件現場の大邸宅・黒龍荘に赴いた二人を待ち受けていたのは、不気味なわらべ唄になぞらえられた陰惨な連続殺人だったー。ミステリ界の話題を攫った傑作推理小説。
引用:「BOOK」データベース

ネタバレありの感想

苦手な感じの本作「黒龍荘の惨劇」ですが、事件が始まってしまえば、陰鬱とした雰囲気がこれぞ、という感じで好みのものではありました。
”顔のない死体”や”見立て殺人”など、好みの事件のはずですが、それでもやはりどこか一歩引いてしまう。
なんか登場人物に危機感が足りていなかったり、姿の見えない犯人の姿が見えなさすぎるんですよね。

”顔のない死体”があったらまず、入れ替わりを疑うわけですが、なんだか集中して読めなかったせいで、誰がまだ存命なのかとか、誰の死が完全に確定しているのか、がなんだかよくわからないまま進んでいってしまった感じです。
これは単純に僕と作者の相性が悪いだけかもしれません。

大落ちの”家族が丸ごと入れ替わっていた”は、ちょっといきなりすぎる印象はどうしてもあります。
いきなりすぎるわりには、”顔のない死体”が多発していたせいで、読者としては入れ替わりは常に意識してしまうので、意外性はそんなに感じなかったのも残念な点。
漆原が家族を支配していた、という手口ですが、現実の事件を下敷きにしたのでしょう。
でも、その割りには心情描写などが足りていないため、恐ろしささリアリティも足りていないのももったいない点ですね。

やっぱり苦手な雰囲気のままの作品でした。

2020年 年間ベスト

  1. 阿川せんり「パライゾ」
  2. 辻村深月「かがみの孤城」
  3. 阿川せんり「厭世マニュアル」
  4. 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ」
  5. 芦沢央「許されようとは思いません」
  6. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  7. 綿矢りさ「蹴りたい背中」
  8. 朝井リョウ「星やどりの声」
  9. 辻村深月「島はぼくらと」
  10. 竹宮ゆゆこ「あなたはここで、息ができるの?」
  11. 辻村深月「朝が来た」
  12. 朝井リョウ「世にも奇妙な君物語」
  13. 今邑彩「そして誰もいなくなる」
  14. 詠坂雄二「リロ・グラ・シスタ」
  15. 青木祐子「嘘つき女さくらちゃんの告白」
  16. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  17. 澤村伊智「ぼぎわんが、来る」
  18. ポール・アルテ「第四の扉」
  19. 辻村深月「家族シアター」
  20. 辻村深月「スロウハイツの神様」
  21. 彩坂美月「僕らの世界が終わる頃」
  22. いしいしんじ「ぶらんこ乗り」
  23. 服部まゆみ「この闇と光」
  24. こだま「夫のちんぽが入らない」
  25. こざわたまこ「負け逃げ」
  26. 辻村深月「東京會舘とわたし」
  27. 黒澤いづみ「人間に向いてない」
  28. まさきとしか「完璧な母親」
  29. 矢樹純「夫の骨」
  30. 名倉編「異セカイ系」
  31. 西尾維新「掟上今日子の推薦文」
  32. 深木章子「鬼畜の家」
  33. 伊坂幸太郎「陽気なギャングは三つ数えろ」
  34. 伊坂幸太郎「陽気なギャングが地球を回す」
  35. 詠坂雄二「人ノ町」
  36. 井上ひさし「十二人の手紙」
  37. 似鳥鶏「叙述トリック短編集」
  38. 一條次郎「レプリカたちの夜」
  39. 冲方丁「もらい泣き」
  40. 東野圭吾「恋のゴンドラ」
  41. 伊坂幸太郎「陽気なギャングの日常と襲撃」
  42. 西尾維新「掟上今日子の備忘録」
  43. 萩原麻里「呪殺島の殺人」
  44. 矢野龍王「極限推理コロシアム」
  45. 村崎友「校庭には誰もいない」
  46. 岡嶋二人「タイトルマッチ」
  47. 歌野晶午「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」
  48. 佐藤究「QJKJQ」
  49. 岡田秀文「黒龍荘の惨劇」
  50. 七河迦南「夢と魔法の国のリドル」
  51. 櫻いいよ「交換ウソ日記」
  52. 青柳碧人「悪魔のトリック」
  53. 辻村深月選「スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎008」
  54. 二宮敦人「18禁日記」
  55. 阿藤玲「お人好しの放課後 (御出学園帰宅部の冒険) 」
  56. 漢 a.k.a. GAMI「ヒップホップ・ドリーム」
  57. 郷一郎「名無しの十字架」
  58. 永嶋恵美「明日の話はしない」
  59. 小嶋陽太郎「気障でけっこうです」
  60. 藤野恵美「ぼくの嘘」
  61. 鈴木おさむ「名刺ゲーム」
  62. 緒川怜「冤罪死刑」