「敗者の告白」もそうだったんだけど、深木章子さんの作品は表紙がとても良い。
「おとうさんはおかあさんが殺しました。おねえさんもおかあさんが殺しました。おにいさんはおかあさんと死にました。わたしはおかあさんに殺されるところでした……」 保険金目当てで家族に手をかけてゆく母親。 巧妙な殺人計画、殺人教唆、資産の収奪…… 信じがたい「鬼畜の家」の実体が、唯一生き残った末娘の口から明らかに。本格ミステリ大賞候補作 『衣更月家の一族』、『殺意の記憶』と続いていく榊原シリーズ第一作。
「おとうさんはおかあさんが殺しました。おねえさんもおかあさんが殺しました。おにいさんはおかあさんと死にました。わたしはおかあさんに殺されるところでした……」
我が家の鬼畜は、母でしたーー。保険金目当てに次々と家族を手にかけていく母親。唯一の生き残りの末娘娘の口から明らかになっていく、母の異常犯罪とは!
島田荘司選 第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞。
島田荘司が見いだした、元・弁護師による衝撃のデビュー作。
『衣更月家の一族』、『殺意の記憶』と続いていく榊原聡シリーズの第一作。
デビュー後『衣更月家の一族』『螺旋の底」と毎年本格ミステリ大賞候補作となっているミステリー界の新星となった元弁護士。この著者だからこそ描けた、リアルかつ恐ろしい人間の欲望。そして驚愕の真相!
引用:楽天ブックス
それぞれの証言者がそれぞれの視点から物語を語り、それが真実に近づいていくという、「敗者の告白」と似た構成。
とある家族(北川家)がどうやって壊れていったのか、そんな様子を見せられる。
最初の証言でいきなり、父親は自殺だったのに保険金のため病死ということにした、という衝撃的な告白から。
当然読者としては、「自殺を病死に見せかけた」のではなく「殺人を病死に見せかけた」と、思い込んでしまう。
最初からこんな大技を見せられてしまうと、物語に引き込まれるし、期待が高まる。
期待を高め、次からは、北川家の母がどんな人物なのか、どんな鬼畜なのか、というのを様々な角度から見せられていく。
これぞイヤミスという感じで、胸糞の悪さが爽快ですらある。
母の鬼畜っぷりをどんどん見せられるが、だんだんと何かが引っかかるようになってくる。
どんでん返しで、真犯人は娘の亜矢名であることが分かる。
このどんでん返しのため、不要に見えるエピソードが入ってしまうのはもったいなかったし、そもそもこんなどんでん返し必要だったのかな。
ミステリーに意外な犯人というのはとても重要なファクターではあるが、やはりそこにはもっと見せ方を工夫して欲しい。
なんとなく惜しい作品。