新刊書店でよく平積みされていた時に帯に惹かれて購入したものをようやく読了。
初読みの作家さんの短編集。
9編で構成されていて、一つ一つはとても短い。
文章のテンポもよくとても読みやすい。実際読み始めたら1日で読了。
こんなことならもっと早く読めばよかった。
昨年、夫の孝之が事故死した。まるで二年前に他界した義母佳子の魂の緒に搦め捕られたように。血縁のない母を「佳子さん」と呼び、他人行儀な態度を崩さなかった夫。その遺品を整理するうち、私は小さな桐箱の中に乳児の骨を見つける。夫の死は本当に事故だったのか、その骨は誰の子のものなのか。猜疑心に囚われた私は…(『夫の骨』)。家族の“軋み”を鋭く捉えた九編。
引用:楽天ブックス
9つの短編の舞台はそれぞれ「家族」
家族間の歪みを主題として書かれた名短編集。
印象的だった短編の感想をいくつか。
夫の死後、物置から発見された乳児の骨。
こんな空恐ろしい始まり。
江戸川乱歩のような鬱々感は物置、って言葉の強さかしらん。
ミステリーとしても、本格な雰囲気があり良き良き。
オレオレ詐欺を思わせる始まりからの裏切り。
良きどんでん返しでした。
どうやら犬と一緒に閉じ込められている『私』
最高にどろどろした始まりで期待は上がりまくるものの、ちょっと期待と違う方に話が転がっていく。
どんでん返しを優先しすぎた悪い例。
何やら隠し事の多そうな父と娘の話。
ミスリードとまでは言わないが、思わせぶりすぎる語り口。
話はなんだかいい感じなのでこれももったいない。
全体的にいい雰囲気だし、サクサク読めて楽しめた。
短編集ということでの難しさが出た作品もいくつかあるものの、総じていい短編集でした。
良き良き。