辻村深月「東京會舘とわたし」

大好き、というか一番好きな作家かもしれない辻村深月さん。
辻村深月さんはとにかく人を描くのが上手。
登場人物がきちんと人間として考え、行動していて、そのおかげでファンタジー的な設定でも、リアリティが失われないし、感動してしまったり何か大きなものをもらえるんだと思う。

そんな辻村深月さんが東京會舘を描く。
人間じゃなくて建物を中心に、小説を描く。
楽しみでもあるし、正直怖さもある。

読了してみると、東京會舘を中心にしているが、いつも通り人間を描いていてさすがの物語。
やっぱり最高の作家さんだ。
大好き。これからもずうっと。

あらすじ

大正十一年、社交の殿堂として丸の内に創業。東京會舘は訪れる客や従業員に寄り添いつつ、その人の数だけ物語を紡いできた。記憶に残る戦前のクラシック演奏会、戦中の結婚披露宴、戦後に誕生したオリジナルカクテル、クッキングスクールの開校ー。震災や空襲、GHQの接収など荒波を経て、激動の昭和を見続けた建物の物語。
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

芥川賞・直木賞の授賞式として有名な東京會舘。
辻村深月さんも「鍵のない夢を見る」で直木賞を受賞。きっとその経験もあっての本書なんだろう。

本書では東京會舘に訪れる・関わる人々が東京會舘での出来事や思い出が描かれている。
そこはやはりいつも通りの辻村深月さんらしさ。

ただ、やはり辻村深月さんの弱点であると言ってしまいますが、人物描写に比べて情景描写が弱いせいでいまいち東京會舘がどういうところなのか、というのは想像し辛い。
東京會舘くらいは前提条件として知っておくべきなのかもしれないが、辻村深月さんはきっとそういう考えは持っていないだろう。
物語で描かれるレストランの「プルニエ」や「ロッシニ」で食事をしてみたいと思ったが、それもやはり料理やレストランの情景を想像して、ではなく、そこを愛する登場人物達を見て「こんなに素敵な人が愛したレストラン・料理はどんなのなんだろう」という気持ちからのものだった。

ちゃんと当時の東京會舘を再現して、映画やドラマになってくれたらすごく良さそう。

2020年 年間ベスト

  1. 阿川せんり「パライゾ」
  2. 辻村深月「かがみの孤城」
  3. 阿川せんり「厭世マニュアル」
  4. 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ」
  5. 芦沢央「許されようとは思いません」
  6. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  7. 綿矢りさ「蹴りたい背中」
  8. 朝井リョウ「星やどりの声」
  9. 辻村深月「島はぼくらと」
  10. 竹宮ゆゆこ「あなたはここで、息ができるの?」
  11. 辻村深月「朝が来た」
  12. 朝井リョウ「世にも奇妙な君物語」
  13. 詠坂雄二「リロ・グラ・シスタ」
  14. 青木祐子「嘘つき女さくらちゃんの告白」
  15. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  16. 澤村伊智「ぼぎわんが、来る」
  17. ポール・アルテ「第四の扉」
  18. 辻村深月「家族シアター」
  19. 辻村深月「スロウハイツの神様」
  20. 彩坂美月「僕らの世界が終わる頃」
  21. いしいしんじ「ぶらんこ乗り」
  22. 服部まゆみ「この闇と光」
  23. こだま「夫のちんぽが入らない」
  24. こざわたまこ「負け逃げ」
  25. 辻村深月「東京會舘とわたし」
  26. 黒澤いづみ「人間に向いてない」
  27. まさきとしか「完璧な母親」
  28. 湊かなえ「絶唱」
  29. 西尾維新「掟上今日子の推薦文」
  30. 伊坂幸太郎「陽気なギャングは三つ数えろ」
  31. 伊坂幸太郎「陽気なギャングが地球を回す」
  32. 詠坂雄二「人ノ町」
  33. 井上ひさし「十二人の手紙」
  34. 似鳥鶏「叙述トリック短編集」
  35. 一條次郎「レプリカたちの夜」
  36. 冲方丁「もらい泣き」
  37. 東野圭吾「恋のゴンドラ」
  38. 伊坂幸太郎「陽気なギャングの日常と襲撃」
  39. 西尾維新「掟上今日子の備忘録」
  40. 萩原麻里「呪殺島の殺人」
  41. 矢野龍王「極限推理コロシアム」
  42. 村崎友「校庭には誰もいない」
  43. 岡嶋二人「タイトルマッチ」
  44. 歌野晶午「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」
  45. 佐藤究「QJKJQ」
  46. 櫻いいよ「交換ウソ日記」
  47. 辻村深月選「スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎008」
  48. 阿藤玲「お人好しの放課後 (御出学園帰宅部の冒険) 」
  49. 漢 a.k.a. GAMI「ヒップホップ・ドリーム」
  50. 郷一郎「名無しの十字架」
  51. 永嶋恵美「明日の話はしない」
  52. 小嶋陽太郎「気障でけっこうです」
  53. 藤野恵美「ぼくの嘘」
  54. 鈴木おさむ「名刺ゲーム」
  55. 緒川怜「冤罪死刑」