青木祐子「嘘つき女さくらちゃんの告白」
インタビュー形式で書かれた一冊。
ミステリーでよく使われる手法だと思うので、てっきり本書「嘘つき女さくらちゃんの告白」もミステリーなのかと思ったのですが、どうやらそうでもなさそうだぞ、って感じで読んだ。
面白かった。
あらすじ
盗作疑惑が持ち上がる中、美人イラストレーターsacraが失踪した。彼女の幼馴染みでライターの朝倉は、クラスメイトや恩人、恋人などsacraに関わってきた人々にインタビューすることで彼女の真実に迫ろうと考える。盗作、経歴詐称、結婚詐欺など、息をするように繰り返した嘘の果てに姿を消したsacraは今、どこで何をしているのか。そして、彼女が本当に欲しかったものとはー?
引用:楽天ブックス
青木 祐子 集英社 2017年01月20日頃
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ネタバレありの感想
あるあるというか、こういう人確かにいたな、と思わされるイラストレーターのsacraにまつわる人々のインタビュー。
どうやら失踪したらしいsacra。
そこにミステリー的な匂いを感じつつ読み進めるものの、どうやらそうういうことではなさそう。
バレバレな嘘をついてしまう。
「自分をよく見せたい」と考えてしまうことは、人間として当然のことであるしわざと「自分を良く見せたくない」人間よりは、よっぽどかっこいいし、人間らしくて素敵だ。
それでも、sacraはやりすぎだし、下手すぎる。
そこにフィクション的なものはありつつ、「こんなやついない」とはちっとも思えないリアリティがある。
それはインタビュー形式というあくまで一方的な視点でみたsacraを描いているからだろう。
インタビューに答えてる人々は意識的にせよ、無意識にせよ、「sacraには嘘つきでいて欲しい」という希望を持っているんだろうなと思わされる。
どうやらミステリーではなさそうだぞ、と思って読み進めたが、ラストにはどんでん返しが。
「イヤミス」に分類されるのかもしれないが、嫌という気持ちよりはここまでやるか、という爽快感の方が強い。
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