青木祐子「嘘つき女さくらちゃんの告白」

インタビュー形式で書かれた一冊。
ミステリーでよく使われる手法だと思うので、てっきり本書「嘘つき女さくらちゃんの告白」もミステリーなのかと思ったのですが、どうやらそうでもなさそうだぞ、って感じで読んだ。
面白かった。

あらすじ

盗作疑惑が持ち上がる中、美人イラストレーターsacraが失踪した。彼女の幼馴染みでライターの朝倉は、クラスメイトや恩人、恋人などsacraに関わってきた人々にインタビューすることで彼女の真実に迫ろうと考える。盗作、経歴詐称、結婚詐欺など、息をするように繰り返した嘘の果てに姿を消したsacraは今、どこで何をしているのか。そして、彼女が本当に欲しかったものとはー?
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

あるあるというか、こういう人確かにいたな、と思わされるイラストレーターのsacraにまつわる人々のインタビュー。
どうやら失踪したらしいsacra。
そこにミステリー的な匂いを感じつつ読み進めるものの、どうやらそうういうことではなさそう。

バレバレな嘘をついてしまう。
「自分をよく見せたい」と考えてしまうことは、人間として当然のことであるしわざと「自分を良く見せたくない」人間よりは、よっぽどかっこいいし、人間らしくて素敵だ。
それでも、sacraはやりすぎだし、下手すぎる。
そこにフィクション的なものはありつつ、「こんなやついない」とはちっとも思えないリアリティがある。
それはインタビュー形式というあくまで一方的な視点でみたsacraを描いているからだろう。
インタビューに答えてる人々は意識的にせよ、無意識にせよ、「sacraには嘘つきでいて欲しい」という希望を持っているんだろうなと思わされる。

どうやらミステリーではなさそうだぞ、と思って読み進めたが、ラストにはどんでん返しが。
「イヤミス」に分類されるのかもしれないが、嫌という気持ちよりはここまでやるか、という爽快感の方が強い。

2020年 年間ベスト

  1. 阿川せんり「パライゾ」
  2. 辻村深月「かがみの孤城」
  3. 阿川せんり「厭世マニュアル」
  4. 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ」
  5. 芦沢央「許されようとは思いません」
  6. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  7. 綿矢りさ「蹴りたい背中」
  8. 朝井リョウ「星やどりの声」
  9. 辻村深月「島はぼくらと」
  10. 竹宮ゆゆこ「あなたはここで、息ができるの?」
  11. 辻村深月「朝が来た」
  12. 朝井リョウ「世にも奇妙な君物語」
  13. 詠坂雄二「リロ・グラ・シスタ」
  14. 青木祐子「嘘つき女さくらちゃんの告白」
  15. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  16. 澤村伊智「ぼぎわんが、来る」
  17. ポール・アルテ「第四の扉」
  18. 辻村深月「家族シアター」
  19. 辻村深月「スロウハイツの神様」
  20. 彩坂美月「僕らの世界が終わる頃」
  21. いしいしんじ「ぶらんこ乗り」
  22. 服部まゆみ「この闇と光」
  23. こだま「夫のちんぽが入らない」
  24. こざわたまこ「負け逃げ」
  25. 辻村深月「東京會舘とわたし」
  26. 黒澤いづみ「人間に向いてない」
  27. まさきとしか「完璧な母親」
  28. 湊かなえ「絶唱」
  29. 西尾維新「掟上今日子の推薦文」
  30. 伊坂幸太郎「陽気なギャングは三つ数えろ」
  31. 伊坂幸太郎「陽気なギャングが地球を回す」
  32. 詠坂雄二「人ノ町」
  33. 井上ひさし「十二人の手紙」
  34. 似鳥鶏「叙述トリック短編集」
  35. 一條次郎「レプリカたちの夜」
  36. 冲方丁「もらい泣き」
  37. 東野圭吾「恋のゴンドラ」
  38. 伊坂幸太郎「陽気なギャングの日常と襲撃」
  39. 西尾維新「掟上今日子の備忘録」
  40. 萩原麻里「呪殺島の殺人」
  41. 矢野龍王「極限推理コロシアム」
  42. 村崎友「校庭には誰もいない」
  43. 岡嶋二人「タイトルマッチ」
  44. 歌野晶午「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」
  45. 佐藤究「QJKJQ」
  46. 櫻いいよ「交換ウソ日記」
  47. 辻村深月選「スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎008」
  48. 阿藤玲「お人好しの放課後 (御出学園帰宅部の冒険) 」
  49. 漢 a.k.a. GAMI「ヒップホップ・ドリーム」
  50. 郷一郎「名無しの十字架」
  51. 永嶋恵美「明日の話はしない」
  52. 小嶋陽太郎「気障でけっこうです」
  53. 藤野恵美「ぼくの嘘」
  54. 鈴木おさむ「名刺ゲーム」
  55. 緒川怜「冤罪死刑」