最高のタイトルと最高の舞台。
「呪殺島」よくわからないが、なんだかおどろおどろしい雰囲気。
ミステリー作家である伯母の殺人容疑をかけられた、「僕」。
顧問弁護士や編集者など、これぞ本格というメンバーが孤島に閉じ込められる。
と、最高に好物なもので構成されているのですが、いまいちでした。
残念。
遺体と、この手のナイフ──犯人は、まさか僕? 秋津真白は、伯母・赤江神楽の遺体の前で目を覚ました。だが、全ての記憶がない。ここ赤江島は、呪術者として穢れを背負った祖先が暮らした島。屋敷には、ミステリー作家の神楽に招かれた8人が。真白の友人で民俗学研究マニアの古陶里の他に、顧問弁護士、ジャーナリスト、担当編集者、旧知の三姉弟たち。伯母を殺めた犯人はこの中に……。真白と古陶里ペアが挑む、新感覚密室推理。
引用:楽天ブックス
典型的というか、王道なクローズドサークル。
そこで記憶を失った「僕」。
雰囲気よさそうなんですが、どうにも軽すぎる。
新潮社Nexだからってことなのかもしれませんが、それにしたって・・・という感じ。
記憶喪失なのに、知識はきちんとあったりなどは、フィクション的なものとして許したとしても、フィクションだからこそ気になる点があった。
「僕」に危機感が無さすぎる。
記憶がなく、自分がナイフを持っていた。
それでも自分の無実を信じるのであれば、もっと焦っていいはずだし、自分の無実すら信じられないのであればもっと精神状態がおかしくなっていいはず。
とにかく、のほほんとしている。
何より、人が1人死んだにも関わらずだ。
そして、殺人が重なられてもそののほほんとした雰囲気はそのまま。
記憶喪失もご都合主義的に回復。
そこから真相が暴かれてしまう。
ミステリとしてはあまりにひどい。
ラノベ的でキャラクター強めな登場人物たちだらけの割には、このセリフが誰のだろうか、と悩まされることも多く、テンポもよくない。
見取り図やアリバイ表もあったけど、あれちゃんと使われたかな?
なんとなく、ミステリっぽいってことで乗っけてただけなんじゃないかな。
密室トリックなんかの是非はあるでしょうが、自分的にはあり。
それよりも、「呪殺島の殺人」なんてタイトルを付けるなら、もっと雰囲気を大事にしてほしかったな。
こんな雰囲気なら「民族オタク古陶里の事件簿」みたいなタイトルの方が良いと思いますよ。