佐藤究「QJKJQ」

2016年の第62回江戸川乱歩賞受賞作。
一家全員殺人鬼。というぶっ飛んだ設定がどうしたって気になる。
佐藤究というペンネームもいいですね。
佐藤究さんが他にどんな作品を描いているのかを知らないので、判断できないが、個人的には「奇書を書こうとした」ように思えた。

あらすじ

女子高生の市野亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家で生まれ育った。父は血を抜いて人を殺し、母は撲殺、兄は噛みついて失血させ、亜李亜はスタッグナイフで刺し殺す。それでも、猟奇殺人の秘密をお互いに共有しながら、郊外の家でひっそりと暮らしていた。ところがある日、兄が部屋で殺されているのを亜李亜は発見する。もちろん警察は呼べない。そして翌日には母がいなくなった。亜李亜は残った父親に疑いの目を向けるが……。

17歳の女子高生・市野亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家で生まれ育った。父は血を抜いて人を殺し、母は撲殺、兄は噛みついて失血させ、亜李亜はスタッグナイフで刺し殺す。それでも、猟奇殺人の秘密をお互いに共有しながら、西東京市の家でひっそりと暮らしていた。ところがある日、兄が部屋で殺されているのを亜李亜は発見する。もちろん警察は呼べない。そして翌日には母がいなくなった。残されたのは父と亜李亜。彼女は自分の父親に疑いの目を向けるが……。
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

前半、一家の面々の紹介のような部分は読んでいてワクワクが止まらない。
この狂った家族がこの後どうなるんだろう、と期待と恐怖がごちゃまぜに。
そんな期待の中、兄の惨殺死体を発見する亜李亜。
不可能殺人に近い状況でどんな本格ミステリが繰り広げられるのか。
と思ったら、全然違った。

「平成のドクラ・マグラ」というような、売り文句があるようですが、夢野久作も舐められたもんだ。というのが正直な感想。
設定は確かに突飛だが、深く踏み込んだ感情や物語があるわけでもなく、少ない知識から殺人を語っているだけのような展開。
それっぽいことを言っているだけで、結局は何も残らない小説だった。

前半は確かに面白かったが、後半は(悪い意味で)どんどんと普通になっていく。
残念。

2020年 年間ベスト

  1. 阿川せんり「パライゾ」
  2. 辻村深月「かがみの孤城」
  3. 阿川せんり「厭世マニュアル」
  4. 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ」
  5. 芦沢央「許されようとは思いません」
  6. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  7. 綿矢りさ「蹴りたい背中」
  8. 朝井リョウ「星やどりの声」
  9. 辻村深月「島はぼくらと」
  10. 竹宮ゆゆこ「あなたはここで、息ができるの?」
  11. 辻村深月「朝が来た」
  12. 朝井リョウ「世にも奇妙な君物語」
  13. 今邑彩「そして誰もいなくなる」
  14. 詠坂雄二「リロ・グラ・シスタ」
  15. 青木祐子「嘘つき女さくらちゃんの告白」
  16. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  17. 澤村伊智「ぼぎわんが、来る」
  18. ポール・アルテ「第四の扉」
  19. 辻村深月「家族シアター」
  20. 辻村深月「スロウハイツの神様」
  21. 彩坂美月「僕らの世界が終わる頃」
  22. いしいしんじ「ぶらんこ乗り」
  23. 服部まゆみ「この闇と光」
  24. こだま「夫のちんぽが入らない」
  25. こざわたまこ「負け逃げ」
  26. 辻村深月「東京會舘とわたし」
  27. 黒澤いづみ「人間に向いてない」
  28. まさきとしか「完璧な母親」
  29. 湊かなえ「絶唱」
  30. 西尾維新「掟上今日子の推薦文」
  31. 伊坂幸太郎「陽気なギャングは三つ数えろ」
  32. 伊坂幸太郎「陽気なギャングが地球を回す」
  33. 詠坂雄二「人ノ町」
  34. 井上ひさし「十二人の手紙」
  35. 似鳥鶏「叙述トリック短編集」
  36. 一條次郎「レプリカたちの夜」
  37. 冲方丁「もらい泣き」
  38. 東野圭吾「恋のゴンドラ」
  39. 伊坂幸太郎「陽気なギャングの日常と襲撃」
  40. 西尾維新「掟上今日子の備忘録」
  41. 萩原麻里「呪殺島の殺人」
  42. 矢野龍王「極限推理コロシアム」
  43. 村崎友「校庭には誰もいない」
  44. 岡嶋二人「タイトルマッチ」
  45. 歌野晶午「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」
  46. 佐藤究「QJKJQ」
  47. 七河迦南「夢と魔法の国のリドル」
  48. 櫻いいよ「交換ウソ日記」
  49. 青柳碧人「悪魔のトリック」
  50. 辻村深月選「スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎008」
  51. 阿藤玲「お人好しの放課後 (御出学園帰宅部の冒険) 」
  52. 漢 a.k.a. GAMI「ヒップホップ・ドリーム」
  53. 郷一郎「名無しの十字架」
  54. 永嶋恵美「明日の話はしない」
  55. 小嶋陽太郎「気障でけっこうです」
  56. 藤野恵美「ぼくの嘘」
  57. 鈴木おさむ「名刺ゲーム」
  58. 緒川怜「冤罪死刑」