佐藤究「QJKJQ」
2016年の第62回江戸川乱歩賞受賞作。
一家全員殺人鬼。というぶっ飛んだ設定がどうしたって気になる。
佐藤究というペンネームもいいですね。
佐藤究さんが他にどんな作品を描いているのかを知らないので、判断できないが、個人的には「奇書を書こうとした」ように思えた。
あらすじ
女子高生の市野亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家で生まれ育った。父は血を抜いて人を殺し、母は撲殺、兄は噛みついて失血させ、亜李亜はスタッグナイフで刺し殺す。それでも、猟奇殺人の秘密をお互いに共有しながら、郊外の家でひっそりと暮らしていた。ところがある日、兄が部屋で殺されているのを亜李亜は発見する。もちろん警察は呼べない。そして翌日には母がいなくなった。亜李亜は残った父親に疑いの目を向けるが……。
17歳の女子高生・市野亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家で生まれ育った。父は血を抜いて人を殺し、母は撲殺、兄は噛みついて失血させ、亜李亜はスタッグナイフで刺し殺す。それでも、猟奇殺人の秘密をお互いに共有しながら、西東京市の家でひっそりと暮らしていた。ところがある日、兄が部屋で殺されているのを亜李亜は発見する。もちろん警察は呼べない。そして翌日には母がいなくなった。残されたのは父と亜李亜。彼女は自分の父親に疑いの目を向けるが……。
引用:楽天ブックス
佐藤 究 講談社 2018年09月14日頃
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ネタバレありの感想
前半、一家の面々の紹介のような部分は読んでいてワクワクが止まらない。
この狂った家族がこの後どうなるんだろう、と期待と恐怖がごちゃまぜに。
そんな期待の中、兄の惨殺死体を発見する亜李亜。
不可能殺人に近い状況でどんな本格ミステリが繰り広げられるのか。
と思ったら、全然違った。
「平成のドクラ・マグラ」というような、売り文句があるようですが、夢野久作も舐められたもんだ。というのが正直な感想。
設定は確かに突飛だが、深く踏み込んだ感情や物語があるわけでもなく、少ない知識から殺人を語っているだけのような展開。
それっぽいことを言っているだけで、結局は何も残らない小説だった。
前半は確かに面白かったが、後半は(悪い意味で)どんどんと普通になっていく。
残念。
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