辻村深月「スロウハイツの神様」
辻村深月さんの中でも評判高いし、実際名作だと思います。
「スロウハイツの神様」
本書が、なぜこんなにも評判いいのか。
あらすじ
人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだーーあの事件から10年。アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。夢を語り、物語を作る。好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。(講談社文庫)
人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだーー
あの事件から10年。
アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。
夢を語り、物語を作る。
好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。
空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。
引用:楽天ブックス
辻村 深月 講談社 2010年01月
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ネタバレありの感想
辻村深月さんの作品は、どれも優しさに包まれていて、読み終わるといつも「いいもの読んだな」って気持ちになる。
それはきっと、辻村深月さん自身が読書に、本に救われてきたからなんじゃないかな、と思う。
それなのに、いつも序盤では不安になる。
なんだか嫌なキャラクターや嫌な事件が起きて、このまま嫌な気持ちのままだったらどうしよう、と再読でも思う。
本書「スロウハイツの神様」では、加々美莉々亜の登場と、すーと正義の別れ・別れ方ですごく不安で嫌な気持ちになってしまう。
でも大丈夫。
やっぱり読了感は心地良くて爽快。
もちろんそれも、ご都合主義なだけの物語ではなくて、きちんと、キャラクターがキャラクターらしいままちゃんと未来や現実をみたり、ちゃんと夢を見たり。
すーと正義もよりを戻すわけではなく、ベストではないけど、ベターなところで決着がつく感じ。
辻村深月さんの小説は、作者よりも登場人物の方がえらい感じというか、なんというか。
脚本のために人が動いていなくていいですよね。
それなのに、キャラクター小説ではなくて、物語の奇跡、物語の面白さっていうのもきちんとあって、本当に奇跡みたいな小説・物語を書く人だ。
それはきっと辻村深月さんが本・物語の力を信じているからなんじゃないかな、って思う。
良き良き。
すごく良き小説。
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