最近また辻村深月さんブームが来ている。
やっぱりどうしようもないくらいに大好きな作家の1人。
瀬戸内海の小さな島が舞台で、辻村深月さんが作者。それだけで胸がぎゅうっとなる。
期待とほんの少しの怖さ。
この島の別れの言葉は「行ってきます」。きっと「おかえり」が待っているから。 瀬戸内海に浮かぶ島、冴島。朱里、衣花、源樹、新の四人は島の唯一の同級生。フェリーで本土の高校に通う彼らは卒業と同時に島を出る。ある日、四人は冴島に「幻の脚本」を探しにきたという見知らぬ青年に声をかけられる。淡い恋と友情、大人たちの覚悟。旅立ちの日はもうすぐ。別れるときは笑顔でいよう。
17歳。卒業までは一緒にいよう。
この島の別れの言葉は「行ってきます」。
きっと「おかえり」が待っているから。瀬戸内海に浮かぶ島、冴島。朱里、衣花、源樹、新の四人は島の唯一の同級生。フェリーで本土の高校に通う彼らは卒業と同時に島を出る。ある日、四人は冴島に「幻の脚本」を探しにきたという見知らぬ青年に声をかけられる。淡い恋と友情、大人たちの覚悟。旅立ちの日はもうすぐ。別れるときは笑顔でいよう。
大人も子供も一生青春宣言!辻村深月の新たな代表作。
引用:楽天ブックス
いつもに増してボリュームがすごい。
僕が辻村深月さんを好きな理由のひとつにも繋がっているんだけど、辻村深月さんはキャラクターを使い捨てない。
それぞれのキャラクターに対して作者としてきちんと愛があって、決着をつけていたり、その後を感じさせる描写がちゃんと感じられる。
そのため、どうしてもエピソードが増えるんですけど、本書「島はぼくらと」はキャラクターもいつもよりエピソードも多め。
それなのに、複雑になりすぎていないのはさすがの筆力。
過疎化のすすむ小さな島。
そんな場所を舞台にしているのに、ほのぼのとしただけの話ではなく、きちんと人間の汚い部分(人間らしい部分)や悪意もある。
そして、逆に人間の汚い部分や悪意なんかで蠢いた「結局人間が一番怖い」みたいな話でも無い。
ちゃんと悪意もあるけど、そんな悪意のある人間にも綺麗な部分はあったり、それでもすぐに通り過ぎて行ったような人物には汚い部分しか見えていなかったり、そのリアルさや脚本のためじゃないキャラクターを生み出せる能力はやはり見事。
そこにほんの少しの奇跡をふりかけて、物語としての面白さも見事なものにしてくれている。
「幻の脚本」という謎はあるものの、ミステリー成分の少ないままでそこはほんの少しだけ残念。
辻村深月さんが、言葉の持つ力、願いというものを大事に描いた一冊。
良き良き。
当然良き。