辻村深月の最高傑作と名高い本書「かがみの孤城」。
一日で一気読み。さすがに面白い。
やっぱり辻村深月さん大好きすぎる。
出版がポプラ社ということもあってか、児童文学っぽい雰囲気が強い名作。
モチーフとしても童話が使われていて、幅広い人が読める名作。
あなたを、助けたい。
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていたーー
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
引用:楽天ブックス
当然のように面白い!
辻村深月さんの小説では割とよく扱われる「いじめ」や「孤独」がテーマ。
辻村深月さんも中学生の頃にそのような経験があるということで、私小説的な側面の強い本書。
主人公のこころが受けたのはこころも言うように「いじめ」ではなく、言葉に出来ない「何か」。
そう言った、言葉に出来ない・言葉にまだなっていない事柄や想いっていうのは色々あって、言葉を糧にしている小説家がそういう事を言ってしまえる正直さがやっぱり好きだな。
かがみの中の世界に7人の中学生が集められ、願いを叶える鍵を探せ、と命じられるなんともファンタジーな設定。
辻村深月さんで言えば「冷たい校舎の時は止まる」を連想させる。
三月でのこころがアキや他のメンバーの記憶を覗く場面の描き方はとても不可思議で、ファンタジックな感覚で独特な読み心地で辻村深月さんの小説家としての筆力の高さに驚いた。
恐らく目まぐるしく記憶が流れ込んできていたこころとテンポを合わせるようにページを捲る手がどんどん早くなる。
そのせいでこの場面はほとんど斜め読みになっていましたが、正しい読み方だったと思う。
ミステリーとしての仕掛け(集められた7人の時間軸がずれているという真相)は割とすぐに分かってしまった。
最近のミステリーをある程度読んでいたり、辻村深月さんを好きならすぐにわかってしまうんじゃなかろうか。
鍵の場所については(一般教養として考えてもいいとは思うが)「七ひきの子やぎ」を知らないとわからないものではあるし、
”オオカミさま”がリオンの姉というのも少し急すぎる感じはある。
それでも本書「かがみの孤城」は間違いなく名作だし、僕も大好きな一冊だ。
物語として、文芸作品として、児童文学として、すごくすごく良き。
辻村深月さんの最高傑作というよりは集大成のような作品。
中学生が読むべき本だし、これがその人にとっての初の辻村深月作品となったらとても素敵なことだと思う。