岡嶋二人「タイトルマッチ」

岡嶋二人の初期の作品。
誘拐ものということで楽しみ。
もちろんタイトルからボクシングものとはわかっていたし覚悟はしていたけど、やっぱりボクシングのシーンはイマイチ。個人的な趣味ですが。

あらすじ

元世界ジュニア・ウェルター級のチャンピオン最上永吉の息子が誘拐された。彼を破ったジャクソンに義弟が挑むタイトルマッチ二日前の事だった。犯人の要求は、“相手をノックアウトで倒せ。さもなくば子供の命はない”。犯人の狙いは何か。意想外の脅迫に翻弄される捜査陣。ラストまで一気のノンストップ長編推理。
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

本書「タイトルマッチ」で何よりも惹かれる部分は誘拐犯の要求。
誘拐犯の要求は身代金ではなくボクサーである三郎に対し、”対戦相手をノックアウトで倒せ”というもの。
八百長であれば、なぜ”負けろ”では無いのか?なぜわざわざ”ノックアウト”で、なのか。
といった謎がとても魅力的。
ボクシング詳しくなくても”ノックアウトで勝て”というのは難しいことはわかる。
岡嶋二人は誘拐もの上手だな。本当。
ミステリーにしては珍しく警察がちゃんとしているのも面白い。

対戦日は刻々と近づいていくのに、様々な人の思惑が絡んできて謎はどんどん複雑になっていく様はまさに手に汗握る。
トリックなんかを楽しむのではなく、人々の思惑を楽しむ言わばキャラクター小説というか、群像劇のような感じ。

個人的な趣味で申し訳ないけど、アクション映画やアクション小説が好きじゃなく、やっぱりボクシングシーンはとてもやけに長く感じて、退屈に感じてしまった。

全体的には秀作。

2020年 年間ベスト

  1. 阿川せんり「パライゾ」
  2. 辻村深月「かがみの孤城」
  3. 阿川せんり「厭世マニュアル」
  4. 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ」
  5. 芦沢央「許されようとは思いません」
  6. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  7. 綿矢りさ「蹴りたい背中」
  8. 朝井リョウ「星やどりの声」
  9. 辻村深月「凍りのくじら」
  10. 朝井リョウ「世にも奇妙な君物語」
  11. 詠坂雄二「リロ・グラ・シスタ」
  12. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  13. 澤村伊智「ぼぎわんが、来る」
  14. ポール・アルテ「第四の扉」
  15. 辻村深月「家族シアター」
  16. 彩坂美月「僕らの世界が終わる頃」
  17. いしいしんじ「ぶらんこ乗り」
  18. 服部まゆみ「この闇と光」
  19. こだま「夫のちんぽが入らない」
  20. 黒澤いづみ「人間に向いてない」
  21. まさきとしか「完璧な母親」
  22. 湊かなえ「絶唱」
  23. 伊坂幸太郎「陽気なギャングは三つ数えろ」
  24. 伊坂幸太郎「陽気なギャングが地球を回す」
  25. 詠坂雄二「人ノ町」
  26. 似鳥鶏「叙述トリック短編集」
  27. 一條次郎「レプリカたちの夜」
  28. 冲方丁「もらい泣き」
  29. 東野圭吾「恋のゴンドラ」
  30. 伊坂幸太郎「陽気なギャングの日常と襲撃」
  31. 岡嶋二人「タイトルマッチ」
  32. 歌野晶午「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」
  33. 辻村深月選「スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎008」
  34. 阿藤玲「お人好しの放課後 (御出学園帰宅部の冒険) 」
  35. 郷一郎「名無しの十字架」
  36. 永嶋恵美「明日の話はしない」
  37. 小嶋陽太郎「気障でけっこうです」
  38. 藤野恵美「ぼくの嘘」
  39. 鈴木おさむ「名刺ゲーム」
  40. 緒川怜「冤罪死刑」