小嶋陽太郎「気障でけっこうです」
文庫の表紙が大好きなイラストレーターのおどりさん、ということで購入。したものの、表紙詐欺だった。
主人公のきよ子は眼鏡ってアイテムが結構重要なのに表紙にそれが無いのはとても残念。
表紙を見て、きよ子のビジュアルを想像しているわけだから、読んでいて眼鏡の記述があるたびにちょっとイメージぶれちゃうのがもったいない。
内容は正直そんなに期待していなかったんですけど、上記のイメージでの不利がありつつも存外楽しめた。
あらすじ
女子高生のきよ子が公園で出くわしたのは、地面に首まですっぽり埋まったおじさんだった。「人生の小路に潜む、落とし穴にはまり…」と間抜けな格好で嘆く男。きよ子は助け出そうとするも、途中で車にはねられ病院へ。その後、目を覚ましたきよ子の前に、なんとあの男が現れた。「私、死んじゃったんですよ」そう、幽霊となってー七三分けの気弱な幽霊と今どき女子高生の奇妙な交流を描く、切なく不思議な新感覚の青春小説。
引用:楽天ブックス
小嶋 陽太郎 KADOKAWA 2016年11月25日
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ネタバレありの感想
表紙も残念だったけど、そんなことより地面から頭だけ出していたことにそんなに深い理由がなかったのが残念。
表紙にもなっている通り、とても特徴的で想像のしやすいシチュエーションなのに、そうなった理由もいまいちだし、そこからの展開も特に無い。
もったいない。
と言うことで、幽霊に取り憑かれた女子高生がその幽霊の心残りを解決して成仏させましょう、というとてもストレートで普遍的な設定。
幽霊が自分の職業を隠すのは納得できるが、名前まで隠してシチサンと名乗るのも、なんとなくシチサンという響きが面白いから、というくらいにしか感じられない。そして、それだけにしてはそんなに面白くない。
本名が蟹江と、そっちの方が面白いのもなんだかなぁ。
由香さんのエピソードもとてもベタながらすごくよかった。
だけど、それがその後に何も繋がってこないままだったのはある意味裏切られた。
きよ子の親友のキエちゃんがとても良きキャラクターで主人公であるきよ子やシチサンよりも突飛で、魅力的。
由香さんのエピソードがよかったとしても、由香さんにあんなに場面使うくらいならキエちゃんを掘り下げるべきだったよなぁ。
残念。
でも読みやすくてよかった。
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