詠坂雄二「人ノ町」

僕のベストミステリーの1冊である「電氣人間の虞」が大好きすぎてあんまり読めていない詠坂雄二。
僕の知っているこれまでの詠坂雄二とは少し雰囲気の違った本書「人ノ町」。意識して”違う”ものを書いているような気がする。

あらすじ

何が起こっているのか? そして彼女は何者か──旅人は彷徨い続ける。文明が衰退し、崩れ行く世界を風に吹かれるままに。訪れた六つの町で目にした、人々の不可思議な営みは一体何を意味するのか。終わりない旅路の果てに、彼女が辿り着く、ある「禁忌」とは。数多の断片が鮮やかに収斂し、運命に導かれるようにこの世界の真実と、彼女の驚愕の正体が明らかになる。注目の鬼才による、読者の認知の枠組みをも揺さぶる異形のミステリー。
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

ミステリーと言ってはいるものの、ミステリーと聞いて期待するようなものでは無い。
荒廃した世界を旅する旅人が訪れた風変わりな町々。
まるで「キノの旅」だが、まさしく「キノの旅」。

全体的に雰囲気重視で書かれている印象。
荒廃した世界がファンタジーかと思いきや今の世界から地続きの話という見せ方。
現代の世界に対する警笛のような小説。

「昔々」の前にはもっと「昔」があるし、「めでたしめでたし」のあとにもまだ物語は続く。
それはきっと「世界はこうして生まれた」の前にも物語はあったんだし、「世界はこうして滅亡した」のあとにも物語はあるんだな。

これで詠坂雄二は3冊目なんだけどちょっと今までとは雰囲気の違う作品。
僕が詠坂雄二に期待するのはこういうことじゃないんだな、と。
もっと振り切っちゃって欲しい。
詠坂雄二にはミステリィを期待しているんだ。

2020年 年間ベスト

  1. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  2. 綿矢りさ「蹴りたい背中」
  3. 朝井リョウ「星やどりの声」
  4. 辻村深月「凍りのくじら」
  5. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  6. 澤村伊智「ぼぎわんが、来る」
  7. ポール・アルテ「第四の扉」
  8. 辻村深月「家族シアター」
  9. 彩坂美月「僕らの世界が終わる頃」
  10. こだま「夫のちんぽが入らない」
  11. まさきとしか「完璧な母親」
  12. 湊かなえ「絶唱」
  13. 詠坂雄二「人ノ町」
  14. 一條次郎「レプリカたちの夜」
  15. 冲方丁「もらい泣き」
  16. 東野圭吾「恋のゴンドラ」
  17. 歌野晶午「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」
  18. 阿藤玲「お人好しの放課後 (御出学園帰宅部の冒険) 」
  19. 郷一郎「名無しの十字架」
  20. 永嶋恵美「明日の話はしない」
  21. 小嶋陽太郎「気障でけっこうです」
  22. 藤野恵美「ぼくの嘘」
  23. 鈴木おさむ「名刺ゲーム」
  24. 緒川怜「冤罪死刑」