歌野晶午「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」

歌野晶午の連作短編集。
なんというか、今時なタイトルで、タイトルから想像する内容もすごくライト文芸っぽいイメージ。
「密室殺人事件王手飛車取り」なんかを読む限り歌野晶午はこういうライトよりなものの方が好きなので期待して読む読む。

まぁ、普通と言ったら悪口に聞こえちゃうか。
あまりぶっ飛んでいなくて期待していたものとは違ったけど、きちんと面白かった。

あらすじ

焼け跡から金貸しの老婆の死体が発見された。体には十数ヵ所の刺し傷があり、焼け残った金庫からはお金も債務者の記録も消えていた!事件を捜査する浜倉中央署の刑事・舞田歳三。彼にはゲームとダンスが好きな11歳の姪・ひとみがいた。行き詰まった事件の謎を、彼女の何気ない言葉が解決へと導く。キャラクターの魅力と本格推理の醍醐味が詰まった傑作推理小説。
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

連作短編集というと、最後に全部がつながるような大きな仕掛けがあるようなものを想像してしまうけど、本書「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」はそういうのではなく、あくまで全六話の連続した短編というだけ。
もちろん、それぞれが独立したものではなく、地続きの話で繋がりはあるんだけど、それが大きな仕掛けになっていないだけ。
それが妙に良き。

ひとみちゃんがそんなに出てこないのが一番の驚き。
そして、11歳にしては子供っぽすぎるのは時代か?
小学生じゃなくて女子高生くらいにして、もっと思い切りラノベ寄りにしたようなのも読んでみたいな。萌え表紙の。

黒こげおばあさん、殺したのはだあれ?

すごくライトな始まりかと思ったらいきなり焼死体。
あ、ちゃんと人死にものなんだ。
芳香剤の件はヒントとして分かり易すぎるのは気になったものの、一編目ということで。

金、銀、ダイヤモンド、ザックザク

被害者が子供ということで、結構重く感じる。
死の真相は事故だった、ということだけどその事故が起こった経緯なんかは子供ならではの狭い世界でのコンプレックスやプライドなんかのせいで、これも胸が苦しくなる。

いいおじさん、わるいおじさん・いいおじさん?わるいおじさん?

二編で対になっている短編。
これ、いい。見事。
「いいおじさん、わるいおじさん」での被害者が「いいおじさん?わるいおじさん?」では、という構成は単純にびっくり。
子供を主人公に据え置いて置きながら子供に伝えづらい事件もしっかりと描く。

トカゲは見ていた、知っていた。

パーティーで毒を飲まされて、っていう場面がいい!これぞミステリーって感じでめちゃめちゃ楽しい。
トリックとしても犯人としてもすごくシンプルであいつしかいないな、ってのがそのまま犯人だし、トリックもヒントは多い。
それでもこういうミステリーっぽいミステリーはなんだかんだ久しぶりですごい楽しかった。

そのひとみに映るもの

野々島さんとひとみの秘密が明らかに。ってこれいる?
あきらかに不要なエピソードだと思うんだけどな。
ひとみちゃんが美少女みたいな伏線はあったものの、歳三の彼女のように見せかけておいて、ひとみのお母さんが野々島さんってだけ。
そこから何か一展開があるわけでもなく、それだけ。
これなんだったんだろう。
続編あるのかな?
あるんだろうな。でも、そうであれば、続編でやればいいことじゃないのかしらん。

まとめ

EL&Pの話がやけにだらだらされるけどあれはなんだったの?や、野々島さんのことなど、納得できない部分も多いけど、それでもやはりさすが歌野晶午、ちゃんとエンタメにしてくれてて水準以上に楽しいのは確か。

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