「少女は夏に閉ざされる」の彩坂美月。
「少女は夏に閉ざされる」が絶妙に好きな感じでした。
本書「僕らの世界が終わる頃」は、あらすじ読んだら、どうやら作中作ものっぽい。
これは好きだ。好きなやつだ。と思ったらやっぱり面白かった。
良き良き。
僕は、禁忌の物語を生み出してしまったのか。不登校になって早一年、14歳の工藤渉は暇を持て余し、軽い気持ちで小説を書き始める。物語を作るのは想像以上に難しく、だが驚くほど楽しかった。初めての小説『ルール・オブ・ルール』をネット上で公開すると、予想外の反響が。けれどその途端、渉の身辺で怪事が続く。脅迫メ -ル、不審な電話、そして作中の場面に酷似した殺人未遂事件。現実と物語が交錯する高次元ミステリー !!
引用:楽天ブックス
作中作ものにしては読みやすい。
「少女は夏に閉ざされる」も読みづらくなりそうなごちゃごちゃした設定の中、読みやすさはずうっと担保されていて、すごいなと思っていたんだけど、本書でも読みやすい。
これは作者の筆力なんだな。
この時点で彩坂美月好きかもしんない。ってなった。
舞台はWeb小説と高校。
Web小説というすごく現代的な舞台をうまく使っていて、ただ現代的な設定を持ってきただけじゃないのが良き。
結末は割と予想通りというか、ミステリーのあるある的な感じの真犯人だったんだけどそこにそんなに肩透かしを感じることもなかったのは、僕が作者のファンになっちゃっただけなのかもしんない。
ただ、結局人死にがないんだけど、そうなってくると渉があそこまで引きこもっていたのはちょっとよくわからなかったり、周りの騒ぎが大きく見えすぎちゃったのが残念。
人死にがなくても辻村深月「ぼくのメジャースプーン」みたいにきちんと、重く深い物語を作ることはできるんだけど、本書では、ちょっとそこに温度差を感じてしまうのが残念。
でも、やっぱり彩坂美月好きだな。追っていこう。