永嶋恵美「明日の話はしない」

初読みの作家さん。
「絶望が爆発するミステリ」とのことですが、まさしくイヤミス。
イヤミスを書こうとしているんでしょう、とにかくイヤな気持ちになるように登場人物が配置されている。

あらすじ

難病で何年も入退院を繰り返し人生を諦観する小学生。男に金を持ち逃げされ無一文のオカマのホームレス。大学中退後に職を転々、いまはスーパーのレジで働く26歳の元OL。別々の時代、場所で生きた三人が自らに課した共通のルールが「明日の話はしない」だった。過失、悪意、転落ーー三つの運命的ストーリーが交錯し、絶望が爆発するミステリ。
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

第一話 小児病棟

いきなり子どもの話。
子どもが難病で何度も入退院を繰り返しているというだけで、いきなり気分は最悪。
子どもが持つ純粋な悪意なんかを表現したかったのでしょうが、ちょっとありがちなところに落ち着いちゃった印象。

第二話 一九九八年の思い出

連作なんだ、というのがわかるのもあり、本書の中で圧倒的にというか唯一驚かされる一章。
視点人物がオネエのホームレスというのはキャッチーだけど、なぜオネエにしたんだろう。
そこはちょっとわからん。だけどいいキャラではあった。

第三話 ルームメイト

第二話で繋がっているんだから、ここも繋がってるんだろうという気持ちで読んでしまうと、不自然な登場人物がいて、なんともわかりやすい。
なのに、隠そうとしているので、不自然になってしまっている。
ここはもうバラしてよかったんじゃないかな。
ミステリーとして驚かせたいなら他の部分をがんばらなくちゃいけなかった。

供述調査

不要。
とにかく不要。
この話のせいで、本の価値自体が一気に下がっている。
第三話までのあれこれで十分登場人物が繋がっているのはわかるのに、ネタバラシをしたがりすぎていてとても不自然な一章。
もったいない。

2020年 年間ベスト

  1. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  2. 綿矢りさ「蹴りたい背中」
  3. 朝井リョウ「星やどりの声」
  4. 辻村深月「凍りのくじら」
  5. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  6. 澤村伊智「ぼぎわんが、来る」
  7. ポール・アルテ「第四の扉」
  8. 辻村深月「家族シアター」
  9. 彩坂美月「僕らの世界が終わる頃」
  10. こだま「夫のちんぽが入らない」
  11. まさきとしか「完璧な母親」
  12. 湊かなえ「絶唱」
  13. 詠坂雄二「人ノ町」
  14. 一條次郎「レプリカたちの夜」
  15. 冲方丁「もらい泣き」
  16. 東野圭吾「恋のゴンドラ」
  17. 歌野晶午「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」
  18. 阿藤玲「お人好しの放課後 (御出学園帰宅部の冒険) 」
  19. 郷一郎「名無しの十字架」
  20. 永嶋恵美「明日の話はしない」
  21. 小嶋陽太郎「気障でけっこうです」
  22. 藤野恵美「ぼくの嘘」
  23. 鈴木おさむ「名刺ゲーム」
  24. 緒川怜「冤罪死刑」