ポール・アルテ「第四の扉」

珍しく海外もの。
帯に惹かれて購入。
素晴らしくよかった。名作だった。
最近の海外ミステリーって社会派かハードボイルトが多くて本格が少なくないですか?
ってこともあって海外ものはあんまり読んでないんだけど、こういう僕の好みのど真ん中の本格ミステリーもあんだね。

あらすじ

密室で夫人が自殺して以来、奇怪な噂の絶えないダーンリーの屋敷。幽霊が歩き回るというこの家に移り住んできた霊能者の夫妻は、関係者を集めて交霊実験を試みるーそれは新たな事件の幕開けだった。死体を担ぐ人影。別の場所で同時に目撃された男。そして呪われた部屋に再び死体が現れる…奇術のごとく繰り出される謎また謎!各探偵の語る最後の一行が読者にとどめを刺す!フランス本格推理の歴史的傑作。
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

あらすじからしてよくないですか?

”密室で夫人が自殺して以来、奇怪な噂の絶えないダーンリーの屋敷。幽霊が歩き回るというこの家に移り住んできた霊能者の夫妻は、関係者を集めて交霊実験を試みるーそれは新たな事件の幕開けだった。”

屋敷もので、密室。その時点で好きに決まってるのに、”幽霊”や”霊能者”というアイテムまで盛り込んできてもうたまらんわけですよ。
世の中には”前情報を知らずに読むべき”と言われる作品は(特に昨今)いっぱいあって、それが褒め言葉のようになっていて、気軽に使われすぎている風潮にはすごく反対な僕ですが、本作「第四の扉」はまさしく”前情報を知らずに読むべき”本。
”前情報を知らずに読むべき”って言葉すらネタバレになりかねないので、ここもネタバレありということで書いてます。

ダーンリーの屋敷を中心に起こる不可能犯罪や不可思議な事件の数々。
すごいワクワクする謎の連続なんだけど、とてもじゃないけど着地は難しそうに思える。
新本格っぽい、ライトなノリと屋敷の不穏な空気が混ざり合っている感じもとても好み。
そしたら幕間!
なんと、作中作。しかも解決のない問題提示のみというプロットがとにかく見事。
作中作と全く気づけなかった。それくらい、作中作の完成度が高い。
そもそものミステリーの書き手としてうまいんだろうな。もちろん翻訳もいいんだろうな。

密室殺人のハウダニットで勝負する小説かと思ったら小説の構造で勝負するという、珍しいミステリー。
ミステリーなのかな。

アーサーの死が銃の暴発による事故だった、というのは少し拍子抜けだけど、作中作が現実の事件の再現であった、というとにかく捻った構造。
良き良き。
読んでる間も、解決編も楽しかった。

2020年 年間ベスト

  1. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  2. 綿矢りさ「蹴りたい背中」
  3. 澤村伊智「ぼぎわんが、来る」
  4. ポール・アルテ「第四の扉」
  5. こだま「夫のちんぽが入らない」
  6. 湊かなえ「絶唱」
  7. 一條次郎「レプリカたちの夜」
  8. 冲方丁「もらい泣き」
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