冲方丁「もらい泣き」

短編集?エッセイ?
立ち位置が微妙な本。
作者の冲方丁が体験したことや、周りの人から集めた「泣ける出来事」を集めた一冊。
全33話のショートショート。

そして本書も3.11以降の本。
やはり日本人として3.11は大きな影響を与えていることをまた思い出す。
忘れちゃいけないことですね。

あらすじ

一族皆に恐れられていた厳格な祖母が亡くなった。遺品の金庫の、驚くべき中身とは…?(「金庫と花丸」)など、冲方丁が実話を元に創作した、33話の「泣ける」ショートストーリー集。
引用:楽天ブックス

感想

ショートショートということもあり、すごくサクサク読める。
軽めの読み心地ですんなりとそれぞれの話が心に染み込んでくる感じは心地よい。
こういうテーマを決めて話を聞くっていうのはすごく面白いことかもしれない。
僕にもあるかな、「泣ける話」。
そういうのちゃんと用意しておきたいな。
なんて思った。

気に入った何編かについて。

金庫と花丸

これ、ちょっとよくできすぎ。
本書にとってのキラーチューンなのは間違いなし。
どれくらい”演出”が入っているかはわからないけど、話の肝の部分がすでに最高で、そこは”演出”されていない部分だろうと思う。
すごくすごく良き良き。

ぬいぐるみ

これもすごくよかったなー。
子供のこういう話はきちゃう。
当たり前だ。

タクシーと指輪

これもよくできすぎた話。
でも、こういう奇跡が起こる可能性も人生にはちゃんとある。

まとめ

悲しい時や、辛い時、笑いすぎた時や、嬉しい時など、様々な時で僕たちは「泣いて」しまう。
にも関わらず本書に収められた話のほとんどが「優しい気持ち」なのが印象的。
個人的な体験として、「泣いて」しまった時は、そういうのが一番記憶に残っちゃうってことなんだろうな。
人間のそういう部分を知れたことがすでに儲けものだ。
いい気付きができた本だ。

2020年 年間ベスト

  1. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  2. 綿矢りさ「蹴りたい背中」
  3. 朝井リョウ「星やどりの声」
  4. 辻村深月「凍りのくじら」
  5. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  6. 澤村伊智「ぼぎわんが、来る」
  7. ポール・アルテ「第四の扉」
  8. 辻村深月「家族シアター」
  9. 彩坂美月「僕らの世界が終わる頃」
  10. こだま「夫のちんぽが入らない」
  11. まさきとしか「完璧な母親」
  12. 湊かなえ「絶唱」
  13. 詠坂雄二「人ノ町」
  14. 一條次郎「レプリカたちの夜」
  15. 冲方丁「もらい泣き」
  16. 東野圭吾「恋のゴンドラ」
  17. 歌野晶午「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」
  18. 阿藤玲「お人好しの放課後 (御出学園帰宅部の冒険) 」
  19. 郷一郎「名無しの十字架」
  20. 永嶋恵美「明日の話はしない」
  21. 藤野恵美「ぼくの嘘」
  22. 緒川怜「冤罪死刑」