郷一郎「名無しの十字架」

2020年の1冊目。と言うよりは年越し本。
横浜が舞台ってのは嬉しいし、あらすじに書かれた「都市伝説ノワールミステリー」というのが気になって購入。
これがなかなか面白かった。

ただ、「都市伝説ノワールミステリー」というところから、もっと怪異なんか扱ったミステリーかと思ってしまったが、そういう都市伝説ではなかったし、何よりミステリーじゃなかった。
「虎対人間」のフィルムという”ブツ”を巡ったハードボイルド小説だった。
期待したものではなかったけど、なかなか面白かった。

あらすじ

虎と戦った人間がいる。そのフィルムを探し出せーアンダーグラウンドフィルムの手配師・三上哲平に持ち込まれた怪しい依頼。莫大な報酬につられ、引き受けることにした三上は、瀕死の重傷を負いながら、今もどこかで生きていると噂される伝説の男を追うが…!?渦巻く欲望、交錯する男と女、顔も名前も失った哀しき男の復讐ー退廃的空気漂う横浜で燃え上がる陰謀劇の行方は!?衝撃の都市伝説ノワールミステリー。
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

「虎対人間のフィルム」と「その人間」を探すという、とてもキャッチーな依頼を受ける探偵役の三上。
ですが、その2つ。特に虎と戦った人間(新崎)の方があっさり見つかる。
その新崎を見つけるために、その前にリョウカンを見つける必要があったりと、道のりが長くなりそうに見かけて、リョウカンもあっさり、そこから新崎にたどり着くのもすぐ。
そういう点はちょっと期待はずれではあったものの、その分、三上と新崎の関係をしっかりと書いていけて、2人の関係性が調査を進めるうちにだんだんと深くなっていく様はベタながら見ていて楽しい。

「虎対人間のフィルム」の最後も想像通りの扱いではあるものの、少し心がジンとくるような最後で結局こういうのが好きだったりする。

アクションも少しあったり、恋愛模様も少し。
そこらの、横道の割合が少なめなのも、テンポが悪くならなくて良いですね。

2020年 年間ベスト

  1. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  2. 綿矢りさ「蹴りたい背中」
  3. 朝井リョウ「星やどりの声」
  4. 辻村深月「凍りのくじら」
  5. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  6. 澤村伊智「ぼぎわんが、来る」
  7. ポール・アルテ「第四の扉」
  8. 辻村深月「家族シアター」
  9. 彩坂美月「僕らの世界が終わる頃」
  10. こだま「夫のちんぽが入らない」
  11. まさきとしか「完璧な母親」
  12. 湊かなえ「絶唱」
  13. 詠坂雄二「人ノ町」
  14. 一條次郎「レプリカたちの夜」
  15. 冲方丁「もらい泣き」
  16. 東野圭吾「恋のゴンドラ」
  17. 歌野晶午「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」
  18. 阿藤玲「お人好しの放課後 (御出学園帰宅部の冒険) 」
  19. 郷一郎「名無しの十字架」
  20. 永嶋恵美「明日の話はしない」
  21. 藤野恵美「ぼくの嘘」
  22. 緒川怜「冤罪死刑」