悠木シュン「スマート泥棒」

時々訪れる「つまらない小説を読みたい」欲。
そんな中「スマート泥棒」というタイトルとダサい表紙で、悪い意味での期待値の高かった一冊。
これが、いい意味で期待を裏切るものだった。
そこそこ良かった。

あらすじ

スマート泥棒ー略してスマドロは、閑静な住宅街で白昼堂々、鮮やかな手口で盗みを働き、世間を騒がしている。物語は、ある主婦がスマドロの話題から、自分の半生をどこの誰ともわからぬ電話の相手に延々と喋り続けるシーンから始まる。新たな語り手が登場する度に、彼女をとりまく複雑な人間関係が見えてくる。パズルのようなミステリーの最終章に待ち受ける真実とは!?第35回小説推理新人賞を受賞したデビュー作!
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

あらすじには堂々と「ミステリー」の文字があるが、ミステリーを期待すると憤慨することになると思う。
推理的な要素もなければ、不思議な部分も全然ない。

「スマート泥棒」というタイトルではあるが、その泥棒自体にはあまりスポットライトも当たらないし、何より全然スマートな感じはない。
スマート泥棒、略してスマドロと関わった人々の話が狭い世界で少しづつ繋がっていく、という部分があらすじで言われている”パズル”的な部分なんでしょうね。
だが、登場人物たちの繋がりにも意外性はなく、面白みはない。

それでも、この小説がそこそこ良かったと思ったのは、キャラクターたちの癖の強さだったりセリフ回しの面白さがありつつ、ちょうどいいくだらなさとフィクション感がなんだか”悪くない”と思えてしまった。
時事ネタや芸能ネタなんかは未来に残すつもりがない作者の潔さを感じたし、実際繰り返し読むようなものでもなければ、遠い未来に読まれるような作品でもないんでしょう。
小説はただの娯楽という哲学でももっている作者なんでしょうかね。

2019年 年間ベスト

  1. 平山夢明「ダイナー」
  2. 辻村深月「小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記」
  3. 紗倉まな「最低。」
  4. 井上真偽「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」
  5. 綿矢りさ「憤死」
  6. 周木律「眼球堂の殺人」
  7. 今村昌弘「屍人荘の殺人」
  8. 市川憂人「ジェリーフィッシュは凍らない」
  9. 宮下奈都「たった、それだけ」
  10. 小林泰三「アリス殺し」
  11. 古処誠二「アンノウン」
  12. 江戸川乱歩「パノラマ島奇談」
  13. 壁井ユカコ「サマーサイダー」
  14. 詠坂雄二「インサート・コイン(ズ) 」
  15. 高山一実「トラペジウム」
  16. 辻村深月「きのうの影踏み」
  17. 朱川湊人「都市伝説セピア」
  18. 桜庭一樹「少女七竈と七人の可愛そうな大人」
  19. 高橋由太「紅き虚空の下で」
  20. 美輪和音「強欲な羊」
  21. 瀬尾まいこ「戸村飯店 青春100連発」
  22. 金原ひとみ「星へ落ちる」
  23. 豊島ミホ「夏が僕を抱く」
  24. 降田天「彼女はもどらない」
  25. よしもとばなな「ハゴロモ」
  26. 河野裕「いなくなれ、群青」
  27. 神宮司いずみ「校舎五階の天才たち」
  28. サキ「サキ短編集」
  29. 中町信「天啓の殺意」
  30. 三浦しをん「小暮荘物語」
  31. 柾木政宗「朝比奈うさぎの謎解き錬愛術」
  32. 彩坂美月「少女は夏に閉ざされる」
  33. 東野圭吾「赤い指」
  34. 小林泰三「世界城」
  35. 湊かなえ「リバース」
  36. 西澤保彦「七回死んだ男」
  37. 麻耶雄嵩「貴族探偵対女探偵」
  38. 橋本紡「彩乃ちゃんのお告げ」
  39. 早坂吝「探偵AIのリアル・ディープラーニング」
  40. 歌野晶午「正月十一日、鏡殺し」
  41. 西本秋「闇は僕らをつないでいる」
  42. 根本聡一郎「プロパガンダゲーム」
  43. 雫井脩介「犯罪小説家」
  44. はやみねかおる「そして5人がいなくなる」
  45. 下村敦史「真実の檻」
  46. 河合莞爾「デッドマン」
  47. 蒼井上鷹「出られない五人」
  48. 笹沢佐保「どんでん返し」
  49. 貫井徳郎「ドミノ倒し」
  50. 村崎友「夕暮れ密室」
  51. 澁澤龍彦「秘密結社の手帖」
  52. 北森鴻「共犯マジック」
  53. はやみねかおる「亡霊は夜歩く」
  54. ジェシー・ケラーマン「駄作」
  55. 大山誠一郎「密室蒐集家」
  56. 深木章子「敗者の告白」
  57. 清涼院流水「全日本じゃんけんトーナメント」
  58. 日高由香「ゴメンナサイ」
  59. 青柳碧人「猫河原家の人びと 一家全員、名探偵」
  60. 太田忠司「僕の殺人」
  61. 悠木シュン「スマート泥棒」
  62. 小山田浩子「穴」
  63. 長崎尚志「闇の伴走者 醍醐真司の博覧推理ファイル」
  64. 獅子文六「ちんちん電車」
  65. 堀内公太郎「スクールカースト殺人同窓会」
  66. 島田荘司「御手洗潔の挨拶」
  67. 堀内公太郎「スクールカースト殺人教室」
  68. 菅原和也「あなたは嘘を見抜けない」
  69. 松下麻理緒「誤算」
  70. 小林由香「ジャッジメント」
  71. 小杉健太郎「神の子(イエス・キリスト)の密室」
  72. 美輪和音「8番目のマリア」
  73. 大石圭「60秒の煉獄」
  74. 小林聡美「読まされ図書室」
  75. 藤岡真「ゲッベルスの贈り物」
  76. 矢部嵩「紗央里ちゃんの家」
  77. 浅暮三文「困った死体」
  78. おかもと(仮)「空想少女は悶絶中」