やった!めちゃめちゃ面白かった!
読んでる間中、「これミステリとして成り立つのか?」と思いながら読んでいました。
賛否あるでしょうけど、僕としてはめちゃめちゃ好物な感じのミステリでした。
ファンタジー×ミステリーとしてはかなりレベルの高いものじゃなかろうか。
難点があるとすれば、「不思議の国のアリス」の知識もあった方がいいってところくらいか。
最近、不思議の国に迷い込んだアリスという少女の夢ばかり見る栗栖川亜理。ハンプティ・ダンプティが墜落死する夢を見たある日、亜理の通う大学では玉子という綽名の研究員が屋上から転落して死亡していたーその後も夢と現実は互いを映し合うように、怪死事件が相次ぐ。そして事件を捜査する三月兎と帽子屋は、最重要容疑者にアリスを名指し…邪悪な夢想と驚愕のトリック!
引用:楽天ブックス
「世界城」の時以上にセリフだらけ。「」だらけ。
こんな作家さんだったっけ?という気持ちがなくもないですが、”不思議の国”側の世界の風景や、住人の心象などを描くことをすっぱりと諦めたかのようなセリフばかりの構成は小説という媒体において確かに”(地球側から見た)夢の世界”のような距離感を感じた。狙ってやっていたとしたら見事だ。
1ページ目から「そこをどいれくれ、メアリーアン!」と、不思議の国の住人たちの頭のおかしさを表現するだけでなく、すでに白兎のアリスとメアリーアンの取り違えをしっかりと書いてあるのが本当に見事。
ここから、不思議の国の真犯人はメアリーアンだとわかっても良いハズなのにそれも全然わからなかった!
しかも、不思議の国だけでなく、現実世界では誰が犯人なのか?という問題もある。
何より熱い展開は蜥蜴のビルが残した“公爵夫人が犯人だということはあり得ない”というダイイングメッセージ。
ビルとしては頭が悪いにも関わらず、現実世界の井森の存在を受け入れ頭をフル回転させて犯人の前でダイイングメッセージを残す様は本当に見事。
一見、犯人には有利に見えるダイイングメッセージを残し、メッセージの受け手である亜理には、犯人の知らない情報から・・・とかなんとかかんとか・・・
説明難しいんですけど、とにかくこの展開熱い!めちゃめちゃ面白い!!
ダイイングメッセージものとしてもかなりの名作だ。
続編として「クララ殺し」「ドロシー殺し」も出ているのでとても楽しみ。
あぁ、楽しみ。
小林泰三好きだ。大好きだ。
「わざわざゾンビを殺す人間なんていない。」なんてタイトルからして絶対に面白いじゃん!!