西本秋「闇は僕らをつないでいる」

まず、表紙。
表紙に書かれているポニーテールの女の子は浅井友花でしかありえないんだけど、彼女三つ編みなんですよね。
このイラスト書いた人は小説読んでないの?あと、この表紙でOK出した編集者も小説読んでないの?

小説自体は、爽やかさと苦さの両方が描かれていてなかなか良き。

あらすじ

不祥事からの復活を目指す名門野球部で、絶対的エースとしてマウンドに立つ川守総。頂点を狙う彼を嘲笑うかのように、グラウンドに次々と遺棄される切り裂かれた動物たち。“ジャック”と名付けられた犯人は、チームの中にいる。発覚すれば再処分は免れない。総は、正義の密告者“セブン”の影に怯えながらも、マネージャーの浅井友花とともにジャックの正体を探り始める。だが、復活を賭けた最後の夏はすぐそこまで迫っていたーー。
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

高校野球と不祥事。
相性がいいというか、相性が悪すぎるというか。
「高校球児とは爽やかであるべき。」という考えはもしかしたら間違っているのかもしれないけど、犯罪を犯すことが間違っているっていうのは確か。
青春なんてキレイなだけのものではもちろんないし、清濁を併せ呑んでこその青春だってのは確か。それを極端にしていったのがこの小説なんでしょう。

”ナイフ”というアイテムをすごく重要なものとして扱っていて、そこにも青春って要素と犯罪って要素を感じる。

チームの歪みは全て総を守るため総に甲子園に連れていってもらうため、というもので、こんなことで人を殺すか?と思わずにはいられないんだけど、彼らにとって高校野球とは甲子園とはそれほどまでに大切なものなんでしょう。
「甲子園を目指す」という言葉からは爽やかさと熱さを感じるが、この小説からは絶えず閉塞感を感じる。その閉塞感がとても高校生っぽい。そう言えば部活ってこんな感じだったな、と。振り返って思う。

それにしても友花はなんだったんだろう。
変なタイミングで退場してそれきり。
彼女の過去のエピソードも必要と思えるようなものでもないし、何よりすっきりと解決しないままってのもどうかと思う。
ジャックやセブンについてすっきりしないというのは、高校野球の閉塞感ってことで狙った部分なんだろうけど、友花に関してはエピソードを追加したのであればある程度の結末を見せるべきだったと思う。

という事もあって、読後感はすっきりせず。
それはわざとだろう。
青春ってのはこんなもんなんだろう。

2019年 年間ベスト

  1. 平山夢明「ダイナー」
  2. 辻村深月「小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記」
  3. 紗倉まな「最低。」
  4. 井上真偽「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」
  5. 綿矢りさ「憤死」
  6. 周木律「眼球堂の殺人」
  7. 今村昌弘「屍人荘の殺人」
  8. 市川憂人「ジェリーフィッシュは凍らない」
  9. 豊島ミホ「底辺女子高生」
  10. 宮下奈都「たった、それだけ」
  11. 彩瀬まる「神様のケーキを頬ばるまで」
  12. 小林泰三「アリス殺し」
  13. 古処誠二「アンノウン」
  14. 江戸川乱歩「パノラマ島奇談」
  15. 壁井ユカコ「サマーサイダー」
  16. 詠坂雄二「インサート・コイン(ズ) 」
  17. 高山一実「トラペジウム」
  18. 月原渉「首無館の殺人」
  19. 辻村深月「きのうの影踏み」
  20. 朱川湊人「都市伝説セピア」
  21. 桜庭一樹「少女七竈と七人の可愛そうな大人」
  22. 高橋由太「紅き虚空の下で」
  23. 美輪和音「強欲な羊」
  24. 瀬尾まいこ「戸村飯店 青春100連発」
  25. 金原ひとみ「星へ落ちる」
  26. 豊島ミホ「夏が僕を抱く」
  27. 北山猛邦「猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数」
  28. 降田天「彼女はもどらない」
  29. よしもとばなな「ハゴロモ」
  30. 河野裕「いなくなれ、群青」
  31. アンソニー・ホロヴィッツ「カササギ殺人事件」
  32. 神宮司いずみ「校舎五階の天才たち」
  33. サキ「サキ短編集」
  34. 中町信「天啓の殺意」
  35. 三浦しをん「小暮荘物語」
  36. 柾木政宗「朝比奈うさぎの謎解き錬愛術」
  37. 彩坂美月「少女は夏に閉ざされる」
  38. 東野圭吾「赤い指」
  39. 小林泰三「世界城」
  40. 湊かなえ「リバース」
  41. 西澤保彦「七回死んだ男」
  42. 麻耶雄嵩「貴族探偵対女探偵」
  43. 橋本紡「彩乃ちゃんのお告げ」
  44. 豊島ミホ「大きらいなやつがいる君のためのリベンジマニュアル」
  45. 清涼院流水「ジョーカー 」
  46. 清涼院流水「コズミック 」
  47. 早坂吝「探偵AIのリアル・ディープラーニング」
  48. 歌野晶午「正月十一日、鏡殺し」
  49. 西本秋「闇は僕らをつないでいる」
  50. 根本聡一郎「プロパガンダゲーム」
  51. 雫井脩介「犯罪小説家」
  52. はやみねかおる「そして5人がいなくなる」
  53. 下村敦史「真実の檻」
  54. 河合莞爾「デッドマン」
  55. 蒼井上鷹「出られない五人」
  56. 笹沢佐保「どんでん返し」
  57. 貫井徳郎「ドミノ倒し」
  58. 村崎友「夕暮れ密室」
  59. 澁澤龍彦「秘密結社の手帖」
  60. 北森鴻「共犯マジック」
  61. はやみねかおる「亡霊は夜歩く」
  62. ジェシー・ケラーマン「駄作」
  63. 大山誠一郎「密室蒐集家」
  64. 深木章子「敗者の告白」
  65. 清涼院流水「全日本じゃんけんトーナメント」
  66. 日高由香「ゴメンナサイ」
  67. 青柳碧人「猫河原家の人びと 一家全員、名探偵」
  68. 太田忠司「僕の殺人」
  69. 悠木シュン「スマート泥棒」
  70. 小山田浩子「穴」
  71. 長崎尚志「闇の伴走者 醍醐真司の博覧推理ファイル」
  72. 獅子文六「ちんちん電車」
  73. 堀内公太郎「スクールカースト殺人同窓会」
  74. 島田荘司「御手洗潔の挨拶」
  75. 堀内公太郎「スクールカースト殺人教室」
  76. 菅原和也「あなたは嘘を見抜けない」
  77. 松下麻理緒「誤算」
  78. 小林由香「ジャッジメント」
  79. 朝倉宏景「白球アフロ」
  80. 小杉健太郎「神の子(イエス・キリスト)の密室」
  81. 美輪和音「8番目のマリア」
  82. 大石圭「60秒の煉獄」
  83. 小林聡美「読まされ図書室」
  84. 平川陽一「山と村の怖い話」
  85. 藤岡真「ゲッベルスの贈り物」
  86. 矢部嵩「紗央里ちゃんの家」
  87. 浅暮三文「困った死体」
  88. おかもと(仮)「空想少女は悶絶中」