今村昌弘「屍人荘の殺人」

2017年一番の話題作。
映画化されるということもあり、文庫化。
そのタイミングでようやく読めた。
かなり売れた本だと思うんですけど、みんなこういうの好きだったっけ?と疑問はあるものの個人的には大好物。大好き!
最高最高最高。

映画化について

予告編をみると、だいぶ脚色しているようですが、神木隆之介が葉村くんを演じるのか。
ほんともう、そういうところだぞ。
違うじゃん。オタク(童貞)と美少女(処女)のラブコメじゃん。
でも、出目やら高木さんやらもだいぶ変わってるみたいだし、キャラクターはまるっきり変えてるって判断でいいのかな。
でもなぁ、狭い関係性でのクローズドサークルってのがメタ・ミステリーとしては結構重要な要素だと思うんだけど・・・
『特に映画研究会の夏合宿に参加する』なんて最高すぎる舞台なんですけどね。
まぁ、メタ部分ってのは人を選ぶしね。
まぁ、見に行くか。浜辺美波かわいいし。

https://www.youtube.com/watch?v=yzjS8bLrtIc

あらすじ

神紅大学ミステリ愛好会会長であり『名探偵』の明智恭介とその助手、葉村譲は、同じ大学に通うもう一人の名探偵、剣崎比留子と共に曰くつきの映研の夏合宿に参加するため、ペンション紫湛荘を訪れる。初日の夜、彼らは想像だになかった事態に見舞われ荘内に籠城を余儀なくされるが、それは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。たった一時間半で世界は一変した。数々のミステリランキングで1位に輝いた第27回鮎川哲也賞受賞作!
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

本書「屍人荘の殺人」での一番のネタバレって”クローズドサークルの作られ方(ゾンビが大量発生して閉じ込められる。)”なんだろうな。
運良く僕はその部分を知らないで読めたのでラッキーだった。
映画が公開されたら、さすがにそんな情報も入ってしまっていただろうな。
こういうぶっ飛んだミステリー大好き。
大好物。

ぶっ飛んだクローズドサークルですが、トリックや犯人当てはとても本格。
第2の殺人でエレベーターにゾンビが乗ってこない方法は思いついたけど、ホワイダニット部分やその他のハウダニットなんかは全然わかんなかったし、もちろん犯人も最後の最後までわからなかった。
そして、犯人当てはすごく納得できるもので、気持ちいいくらい。

明智の早々の離脱は残念。キャラクターもいいし、探偵としてのキャラも立っていて、それこそ”これから”の探偵だと思ったので・・・
続編で生き返ってくれたりしないかなー・・・

ゾンビものを期待すると期待外れだと思う。
ゾンビものとして考えるとパニックは少ないし、極限状態における人間ドラマも全然ない。
あくまで、舞台装置(凶器としても)として用意されただけ。
そこに不満を覚える人は多いでしょう。
でも、本格ってそんなもんじゃね?ってのもある。

本格らしく(これもメタ・ミステリーとしてわざとなんじゃないかと思ってしまうくらいうまく)人間が書けていないが、その代わり、キャラクターはきちんと書けている。
それは、名付け方からそうだし、会話劇やキャラクター作りはラノベっぽさが強く、それこそ剣崎には「萌え」を感じるし、ラブコメもしっかりと入っている。
文体も割と軽めではあるけど、美しい部類に入るのではないでしょうか。
とかなんとかあって、全体的にやはり癖は強い小説だと思う。
それなのにこんなに売れて映画化までされた、ってのはなかなか興味深い。
とにもかくにも、個人的に大好きな作品。
めちゃめちゃ楽しかった。
大好き大好き。

2019年 年間ベスト

  1. 平山夢明「ダイナー」
  2. 辻村深月「小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記」
  3. 紗倉まな「最低。」
  4. 井上真偽「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」
  5. 綿矢りさ「憤死」
  6. 周木律「眼球堂の殺人」
  7. 今村昌弘「屍人荘の殺人」
  8. 市川憂人「ジェリーフィッシュは凍らない」
  9. 宮下奈都「たった、それだけ」
  10. 彩瀬まる「神様のケーキを頬ばるまで」
  11. 小林泰三「アリス殺し」
  12. 古処誠二「アンノウン」
  13. 江戸川乱歩「パノラマ島奇談」
  14. 壁井ユカコ「サマーサイダー」
  15. 詠坂雄二「インサート・コイン(ズ) 」
  16. 高山一実「トラペジウム」
  17. 月原渉「首無館の殺人」
  18. 辻村深月「きのうの影踏み」
  19. 朱川湊人「都市伝説セピア」
  20. 桜庭一樹「少女七竈と七人の可愛そうな大人」
  21. 高橋由太「紅き虚空の下で」
  22. 美輪和音「強欲な羊」
  23. 瀬尾まいこ「戸村飯店 青春100連発」
  24. 金原ひとみ「星へ落ちる」
  25. 豊島ミホ「夏が僕を抱く」
  26. 北山猛邦「猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数」
  27. 降田天「彼女はもどらない」
  28. よしもとばなな「ハゴロモ」
  29. 河野裕「いなくなれ、群青」
  30. アンソニー・ホロヴィッツ「カササギ殺人事件」
  31. 神宮司いずみ「校舎五階の天才たち」
  32. サキ「サキ短編集」
  33. 中町信「天啓の殺意」
  34. 三浦しをん「小暮荘物語」
  35. 柾木政宗「朝比奈うさぎの謎解き錬愛術」
  36. 彩坂美月「少女は夏に閉ざされる」
  37. 東野圭吾「赤い指」
  38. 小林泰三「世界城」
  39. 湊かなえ「リバース」
  40. 西澤保彦「七回死んだ男」
  41. 麻耶雄嵩「貴族探偵対女探偵」
  42. 橋本紡「彩乃ちゃんのお告げ」
  43. 清涼院流水「ジョーカー 」
  44. 清涼院流水「コズミック 」
  45. 早坂吝「探偵AIのリアル・ディープラーニング」
  46. 歌野晶午「正月十一日、鏡殺し」
  47. 西本秋「闇は僕らをつないでいる」
  48. 根本聡一郎「プロパガンダゲーム」
  49. 雫井脩介「犯罪小説家」
  50. はやみねかおる「そして5人がいなくなる」
  51. 下村敦史「真実の檻」
  52. 河合莞爾「デッドマン」
  53. 蒼井上鷹「出られない五人」
  54. 笹沢佐保「どんでん返し」
  55. 貫井徳郎「ドミノ倒し」
  56. 村崎友「夕暮れ密室」
  57. 澁澤龍彦「秘密結社の手帖」
  58. 北森鴻「共犯マジック」
  59. はやみねかおる「亡霊は夜歩く」
  60. ジェシー・ケラーマン「駄作」
  61. 大山誠一郎「密室蒐集家」
  62. 深木章子「敗者の告白」
  63. 清涼院流水「全日本じゃんけんトーナメント」
  64. 日高由香「ゴメンナサイ」
  65. 青柳碧人「猫河原家の人びと 一家全員、名探偵」
  66. 太田忠司「僕の殺人」
  67. 悠木シュン「スマート泥棒」
  68. 小山田浩子「穴」
  69. 長崎尚志「闇の伴走者 醍醐真司の博覧推理ファイル」
  70. 獅子文六「ちんちん電車」
  71. 堀内公太郎「スクールカースト殺人同窓会」
  72. 島田荘司「御手洗潔の挨拶」
  73. 堀内公太郎「スクールカースト殺人教室」
  74. 菅原和也「あなたは嘘を見抜けない」
  75. 松下麻理緒「誤算」
  76. 小林由香「ジャッジメント」
  77. 朝倉宏景「白球アフロ」
  78. 小杉健太郎「神の子(イエス・キリスト)の密室」
  79. 美輪和音「8番目のマリア」
  80. 大石圭「60秒の煉獄」
  81. 小林聡美「読まされ図書室」
  82. 藤岡真「ゲッベルスの贈り物」
  83. 矢部嵩「紗央里ちゃんの家」
  84. 浅暮三文「困った死体」
  85. おかもと(仮)「空想少女は悶絶中」