メフィスト賞最大の問題作という触れ込みのデビュー作「N0推理、NO探偵?」が個人的(あくまで個人的)に大好きだった柾木政宗の第二作。
もちろん、トリッキーなキャラクターでトリッキーな小説なんだけど、「N0推理、NO探偵?」に比べるとだいぶ大人しめ。
ラブコメ成分も多く、柾木政宗はやっぱりこういうライトな方向で行くのかな。
迅人さん、うさぎのこと“大好き” なんですね。探偵の迅人は、ストーカーに悩まされている。とてつもなく可愛い朝比奈うさぎに。彼女は「迅人は私が好き」ということを証明する時にだけ驚異的な推理力を発揮する。行く先々で遭遇する謎多き殺人現場でも、いつも彼女の妄想錬愛術が炸裂して副産物的に犯人が判明してしまう。残念イケメン探偵と偏狂ストーカー美少女(自称婚約者)の助手による、新感覚ラブコメ本格ミステリ、開幕。
引用:楽天ブックス
「ペンションで殺人事件が起こって〜〜〜」というこれぞミステリーという舞台。
迅人とうさぎとお姉ちゃんのキャラ紹介を兼ねつつ、うさぎが”迅人に関して想像を巡らす時に以上に頭が働き、ついでに犯人もわかっちゃう”というトリッキーな展開。
犯人にいたる理由も”ソファのワイヤーについて知っていたから”というのもとてもスマートでいいですね。
偶然知ったというのもありえなくはないけど。
カメラの死角で行われた犯行。
とは言え、遊園地という場所で目撃者が全然いない事は少し不自然に感じてしまうけど、うさぎちゃんのリュックを降ろしていないという目の付け所からの犯人当ては見事。
うさぎちゃんと迅人の出会いのエピソード。
何よりこの短編が面白いのが”密室を作るための手順が記されていたメモが発見される”という点。
そのメモから”計画者”の存在と”予定が変更された”ことへ至る推理力。
いいオチだ。
2話目に登場したスリの佐々木が被害者として登場。
これまでの短編を無理やり繋げてるだけのような印象もちょっとあって、そこは残念。
別に伏線を散りばめて回収していく必要はないんじゃなかろうか、というのが個人的な好み。
短編ということもあり、前作「N0推理、NO探偵?」に比べるとミステリとしてだいぶ大人しめというか、シンプルなトリック。
新潮文庫NEXということで続編も出るんでしょう。
うさぎちゃんは可愛いし、柾木政宗さん応援したい気持ちもあるので、続編出たらまた読もう。