小林泰三はまだそんなに読んでない。
「大きな森の小さな密室」がとてもよかった覚えはあるものの、「アリス殺し」「玩具修理者」は積んだままだ。
早いとこそっちも読みたいと思った。
本書「世界城」とても面白かった。
小林泰三はミステリーまたはホラーの作家というイメージが強いと思う。
そんな著者の初のファンタジー冒険小説。ファンタジー世界のミステリーなどではなく、ストレートな冒険小説でそれがまたすごくよかった。
ストレートと言えども、『剣と魔法』みたいな世界ではなく
一家団欒に突然飛び込んできた少女は、「城」の外に出て行くと言う。「城」の外に「世界」などないのに。物々交換でささやかな日々を送る村で少女が産み落とした赤ん坊は、ジュチと名づけられ、村人全員によって育てられた。11歳となったジュチは大きな使命を持って外へと踏み出すのだが…。作家生活20周年、著者初の本格冒険ファンタジー、ついに登場!
引用:楽天ブックス
閉鎖的な世界が好きだ。
雪の密室や嵐の孤島が好きだ。
もちろん、本書「世界城」はミステリーではないのでその閉鎖的な世界で犯人を限定していたり、犯人からの恐怖に怯えたりするわけでもなく、あくまで少し変わった世界観を作り出すだけで、「城」と「城の外」という舞台でなくともこの話が破綻することはなかっただろう。
ジュチとダグの賢者と愚者感というか、こういう凸凹コンビはやっぱり魅力的に見える。
ここぞという時に立ち上がるダグには涙腺刺激されるし、熱くなる。
ジュチとダグとのそれもそうなんですけど、会話劇がとても良き。
ジュチとドグラと皇帝とのやりとりや、ジュチと兵士や、兵士同士の会話もすごく楽しい。
面白かった。
面白かっただけに、続編を期待してしまう。
終わり方のせいもあって、続編を期待してしまう。
この「城」と「城の外」の話をもっと読みたい。
プロローグや世界観の説明もあまりに思わせぶりでこれだけで終わってしまうのはやっぱりもったいないというか、不自然な気がしちゃうんだよな。
とりあえず、積んでいる「アリス殺し」や「玩具修理者」も読もう。