深木章子「敗者の告白」

表紙の雰囲気がとても素敵だし、「敗者の告白」というタイトルもなんだか気になる。
そしてあらすじの「関係者の“告白”だけで構成された、衝撃の大逆転ミステリ。」が気になって購入。

あらすじ

とある山荘で会社経営者の妻と8歳の息子が転落死した。夫は無実を主張するも、容疑者として拘束される。しかし、関係者の発言が食い違い、事件は思いも寄らない顔を見せはじめる。遺された妻の手記と息子の救援メール。事件前夜に食事をともにした友人夫妻や、生前に妻と関係のあった男たちの証言。容疑者の弁護人・睦木怜が最後に辿り着く、衝撃の真相とは!? 関係者の“告白”だけで構成された、衝撃の大逆転ミステリ。
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

「関係者の“告白”だけで構成された、衝撃の大逆転ミステリ。」という設定は結構うまい設定だ。
やっていることはほとんど一人称視点を何名か切り替えているだけと言えばそれだけなんだけど、それを「告白」としたことで、嘘を混ぜることがとても自然にできている。

死者の2名が生前に送っていたメール。
メールって時点で、これは他の人物(つまり真犯人)が送ったものなのではないか?という疑念はすぐに抱いてしまう。
そうすると、他の生者の告白を正とするならば、矛盾点なんかは目立ってしまい、すぐに真犯人=弘樹というのは想像がついてしまし、ミステリーとしては、物足りない部分は大きい。

とかなんとか言いながらも「告白」だけで構成されている割にはとても読みやすく、サラサラ読めて楽しめた。
フーダニットというよりはホワイダニットとして楽しめた。

それにしても「Xにまつわるひとつの推論」はなんだったんだ、あの告発が外に出る可能性を考慮して「X」なんて言葉を使ったのか?
それにしては弘樹ってバレバレだし、「X」にまつわる一連のあれこれがあまりにわざとらしい。
ちゃんと弘樹が犯人だって、世間に公表するような流れにしてくれた方がよかったのでは。

2019年 年間ベスト

  1. 平山夢明「ダイナー」
  2. 辻村深月「小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記」
  3. 紗倉まな「最低。」
  4. 井上真偽「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」
  5. 綿矢りさ「憤死」
  6. 周木律「眼球堂の殺人」
  7. 今村昌弘「屍人荘の殺人」
  8. 市川憂人「ジェリーフィッシュは凍らない」
  9. 宮下奈都「たった、それだけ」
  10. 小林泰三「アリス殺し」
  11. 古処誠二「アンノウン」
  12. 江戸川乱歩「パノラマ島奇談」
  13. 壁井ユカコ「サマーサイダー」
  14. 詠坂雄二「インサート・コイン(ズ) 」
  15. 高山一実「トラペジウム」
  16. 辻村深月「きのうの影踏み」
  17. 朱川湊人「都市伝説セピア」
  18. 桜庭一樹「少女七竈と七人の可愛そうな大人」
  19. 高橋由太「紅き虚空の下で」
  20. 美輪和音「強欲な羊」
  21. 瀬尾まいこ「戸村飯店 青春100連発」
  22. 金原ひとみ「星へ落ちる」
  23. 豊島ミホ「夏が僕を抱く」
  24. 降田天「彼女はもどらない」
  25. よしもとばなな「ハゴロモ」
  26. 河野裕「いなくなれ、群青」
  27. 神宮司いずみ「校舎五階の天才たち」
  28. サキ「サキ短編集」
  29. 中町信「天啓の殺意」
  30. 三浦しをん「小暮荘物語」
  31. 柾木政宗「朝比奈うさぎの謎解き錬愛術」
  32. 彩坂美月「少女は夏に閉ざされる」
  33. 東野圭吾「赤い指」
  34. 小林泰三「世界城」
  35. 湊かなえ「リバース」
  36. 西澤保彦「七回死んだ男」
  37. 麻耶雄嵩「貴族探偵対女探偵」
  38. 橋本紡「彩乃ちゃんのお告げ」
  39. 早坂吝「探偵AIのリアル・ディープラーニング」
  40. 歌野晶午「正月十一日、鏡殺し」
  41. 西本秋「闇は僕らをつないでいる」
  42. 根本聡一郎「プロパガンダゲーム」
  43. 雫井脩介「犯罪小説家」
  44. はやみねかおる「そして5人がいなくなる」
  45. 下村敦史「真実の檻」
  46. 河合莞爾「デッドマン」
  47. 蒼井上鷹「出られない五人」
  48. 笹沢佐保「どんでん返し」
  49. 貫井徳郎「ドミノ倒し」
  50. 村崎友「夕暮れ密室」
  51. 澁澤龍彦「秘密結社の手帖」
  52. 北森鴻「共犯マジック」
  53. はやみねかおる「亡霊は夜歩く」
  54. ジェシー・ケラーマン「駄作」
  55. 大山誠一郎「密室蒐集家」
  56. 深木章子「敗者の告白」
  57. 清涼院流水「全日本じゃんけんトーナメント」
  58. 日高由香「ゴメンナサイ」
  59. 青柳碧人「猫河原家の人びと 一家全員、名探偵」
  60. 太田忠司「僕の殺人」
  61. 悠木シュン「スマート泥棒」
  62. 小山田浩子「穴」
  63. 長崎尚志「闇の伴走者 醍醐真司の博覧推理ファイル」
  64. 獅子文六「ちんちん電車」
  65. 堀内公太郎「スクールカースト殺人同窓会」
  66. 島田荘司「御手洗潔の挨拶」
  67. 堀内公太郎「スクールカースト殺人教室」
  68. 菅原和也「あなたは嘘を見抜けない」
  69. 松下麻理緒「誤算」
  70. 小林由香「ジャッジメント」
  71. 小杉健太郎「神の子(イエス・キリスト)の密室」
  72. 美輪和音「8番目のマリア」
  73. 大石圭「60秒の煉獄」
  74. 小林聡美「読まされ図書室」
  75. 藤岡真「ゲッベルスの贈り物」
  76. 矢部嵩「紗央里ちゃんの家」
  77. 浅暮三文「困った死体」
  78. おかもと(仮)「空想少女は悶絶中」