雫井脩介「犯罪小説家」

やけに濃いキャラクターが出ていたり、ストーリー的にも派手な部分が多く、大味というか外連味の強い一冊。
好き嫌いの別れる小説だと思う。
でも、こういうのはフィクションならではでいいですよね。

あらすじ

新進作家、待居涼司の出世作『凍て鶴』に映画化の話が持ち上がった。監督・脚本に選ばれた奇才・小野川充は独自の理論を展開し、かつて世間を騒がせた自殺系サイト「落花の会」を主宰していた木ノ瀬蓮美の“伝説の死”を映画に絡めようとする。一方、小野川に依頼されて蓮美の“伝説の死”の謎に迫り始めたライターの今泉知里は、事件の裏に待居と似た男の存在があると気づき―。その企み、恐怖は予測不能。待望の文庫化。
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

ミステリーとしてはイマイチ。
というか、ミステリーとして書いていないんじゃないかな。それこそ、犯罪小説として書かれた一冊なんじゃないかな。
最後までちゃんとした謎解きがなかったのも、そういうことだったんじゃないかな、と。
もちろん、物語中にずうっと大きな「謎」があって、その謎を中心に物語は進んでいく。

小野川のキャラクターが少し突飛すぎて、読んでいてちょっと疲れるくらい。
でも、小野川のパワーによって物語がどんどんといい方にも悪い方にも進んでいくのはなかなか、良き。

待居が小野川に対してどんどんと強く嫌悪感を覚えていくのに、映画化の話をストップさせないことに都合が良すぎるような気がずうっとしていたんだけど、その答えが「小野川の撮る『凍て鶴』を見たかった」というもので、無理やりそうだけど、しっかりと納得の出来る力強さがあってすごくよかった。
そしてラスト、後悔された映画を見に来た待居と「落花の会」を追っている刑事との会話。
ここがかっこよかった。
それまでのイマイチな点とか全部ぶっ飛ばしていい小説だったと思わせるようなかっこよさがあった。

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  25. 中町信「天啓の殺意」
  26. 三浦しをん「小暮荘物語」
  27. 彩坂美月「少女は夏に閉ざされる」
  28. 東野圭吾「赤い指」
  29. 湊かなえ「リバース」
  30. 西澤保彦「七回死んだ男」
  31. 麻耶雄嵩「貴族探偵対女探偵」
  32. 根本聡一郎「プロパガンダゲーム」
  33. 雫井脩介「犯罪小説家」
  34. はやみねかおる「そして5人がいなくなる」
  35. 下村敦史「真実の檻」
  36. 河合莞爾「デッドマン」
  37. 蒼井上鷹「出られない五人」
  38. 貫井徳郎「ドミノ倒し」
  39. 澁澤龍彦「秘密結社の手帖」
  40. 小山田浩子「穴」
  41. 北森鴻「共犯マジック」
  42. はやみねかおる「亡霊は夜歩く」
  43. ジェシー・ケラーマン「駄作」
  44. 大山誠一郎「密室蒐集家」
  45. 日高由香「ゴメンナサイ」
  46. 長崎尚志「闇の伴走者 醍醐真司の博覧推理ファイル」
  47. 獅子文六「ちんちん電車」
  48. 堀内公太郎「スクールカースト殺人同窓会」
  49. 島田荘司「御手洗潔の挨拶」
  50. 堀内公太郎「スクールカースト殺人教室」
  51. 菅原和也「あなたは嘘を見抜けない」
  52. 松下麻理緒「誤算」
  53. 小林由香「ジャッジメント」
  54. 小杉健太郎「神の子(イエス・キリスト)の密室」
  55. 美輪和音「8番目のマリア」
  56. 大石圭「60秒の煉獄」
  57. 小林聡美「読まされ図書室」
  58. 藤岡真「ゲッベルスの贈り物」
  59. 矢部嵩「紗央里ちゃんの家」
  60. おかもと(仮)「空想少女は悶絶中」