20xx年って言葉が大好き。
めちゃめちゃ大好き。
そんな20xx年の日本で生まれた「復讐法」という法律。
その名の通り、被害者の遺族が犯人に対して、法の元復讐ができるという、わかりやすく「罪と罰」をテーマにした作品。
大切な人を殺された者は言う。「犯罪者に復讐してやりたい」と。
凶悪な事件が起きると人々は言う。「被害者と同じ目に遭わせてやりたい」と。
20××年、凶悪な犯罪が増加する一方の日本で、新しい法律が生まれた。
それが「復讐法」だ。目には目を歯には歯を。この法律は果たして
被害者たちを救えるのだろうか。復讐とは何かを問いかける衝撃のデビュー作!
引用:楽天ブックス
「復讐法」という架空の法律を物語の中心に持ってきたにしては、そこの詰めがちょっと甘く、リアリティや緊迫感は薄め。
それでもやっぱり、誰もが一度は考えたことがあるような設定をまっすぐ取り扱ったのは良いチャレンジだと思う。
「罪と罰」なんて誰も明確な答えなんか出せるわけがないテーマだと思う。
誰もが、現在の死刑制度なども含めてきちんと考え続けなくちゃいけない。
本書「ジャッジメント」がそのきっかけになればいいな、と作者は思ったんじゃないでしょうか。
もしかしたら、作者自身が考えるきっかけとして本書を書き出したのかもしれないけど。
物語は応報監察官の鳥谷文乃の視点で描かれているんだけど、彼に少し人間味を感じないんですよね。
人が人を殺すのを間近で観察し続けている鳥谷は、物語の主人公らしく被害者に入り込んでいく。
その割には、割と自分の心を強く持ち続けたまま観察を続けていて、そこに対する苦悩などは全く描かれない。
これだったら実行する彼ら彼女らの視点で描いてくれた方が、緊迫感が出たんじゃなかろうか。
また、法を執行される側の加害者達に全くリアリティがない。
これから(自業自得とは言え)殺されるというのに、全く恐れを感じない。
というのも作者がシナリオ畑の人のようで、なるほど。
やはりシナリオ畑の人は人間を書くのが苦手な人が多いんだろうな。
結論としては、すごくイマイチ。