随分昔に読んだのは確か。
なんとなくの話の筋は覚えてる。
前回読んだ時はそんなにハマらなかった気がするけど、今回は結構面白かったな。
ハードルが下がっていたのか、昔よりSFに耐性がついたのか。
本書「七回死んだ男」はSF×ミステリ。
SFやファンタジーとミステリが難しいのは、ルールを作者が決められるってところだと思う。
あまりに作者や物語、探偵役に都合のいいルールだと読者としては冷めてしまう。
本書の「反復落とし穴」のルールはちょっと都合良すぎる部分があるものの、コミカルな雰囲気で許せる。
少女の遺体が住宅街で発見された。捜査上に浮かんだ平凡な家族。一体どんな悪夢が彼等を狂わせたのか。「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼等自身の手によって明かされなければならない」。刑事・加賀恭一郎の謎めいた言葉の意味は?家族のあり方を問う直木賞受賞後第一作。
引用:楽天ブックス
一番のキモである反復回数のズレが、結局キュータローの勘違いだった。というのはなんともかんとも・・・・・・
他にもキュータローが人死に対して気軽すぎる点や、友里さんのセリフから周回が自分の認識とずれていることに全く気づかない点なども気になってしまうが、全体的にはとてもコミカルで面白い。
反復回数のズレというのも、初読の人は気づかない人も多いだろう。
小説としては、どうやっても防げない”殺人事件”でずうっとワクワク読めるし、一人だけ反復を認識している視点人物であるキュータローが日付の認識を間違えている、というのは卑怯と言われても仕方がない力業。
その上、キュータローが”死んで”も反復が続くというのは、読者の思考の外側にあるルールだ。
舞台づくりがとても上手い。
SFのルールはもちろん、キャラクターのやけにコミカルな感じやメタ的な視点を逆手にとったりなど、テクニックもパワーもある。