古処誠二「アンノウン」

メフィスト賞にハズレ無し。
と、あくまで個人的に感じています。
尖った作品ばかりのメフィスト賞にこう感じるのはどこか変な話だ。
まぁ、メフィスト賞の選考している人と趣味が似ているってことなんだろう。

あらすじ

第14回メフィスト賞受賞作
侵入不可能なはずの部屋の中に何故か盗聴器が仕掛けられた。密室の謎に挑むのは防謀のエキスパート・防衛部調査班の朝香二尉。犯人の残した微かな痕跡から、朝香は事件の全容を描き出す。完璧に張り巡らされた伏線!重厚なテーマ性!リアリティ溢れる描写力!!熱く、そして端正な本格ミステリが登場した!!
引用:Amazon「アンノウン」

ネタバレありの感想

メフィスト賞にしては綺麗にまとまっている、と言うよりは地味だ。と言ってしまってもいいかもしれない。
誰も死なないし、派手なアクションシーンなんかもない。
奇想天外なトリックも、異様な館も異常なほどの天才も出てこない。

自衛隊という固いイメージを持ってしまう場所を舞台にしているものの語り口はとても軽くとても読みやすい。
もちろん実際に盗聴器が仕掛けられるなんてことは大きな事件ではあるけど、フィクションとしてはどうしても地味だと感じる。
それでも、緊迫感もありつつ、終始ワクワクして一気に読めた。

終盤の畳み掛けのテンポは特に素晴らしく気持ちいい。
トリックなんかは正直地味で、「そんなもんか」って感じ。
それに「どんでん返し」されたとても犯行理由がとても「くだらない」。
だけど、これがまた自衛隊という「密室」では心地よい「どんでん返し」となっている。

自衛隊の内幕ものとしてもとても良き。
自衛隊に対して思うことはそれぞれが色々あるけど、そこにいる人達はあくまで人なんだってことをきちんと描けている。
キャラクターを描けている作家はやっぱり強いな。

2019年 年間ベスト

  1. 辻村深月「小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記」
  2. 平山夢明「ダイナー」
  3. 紗倉まな「最低。」
  4. 井上真偽「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」
  5. 綿矢りさ「憤死」
  6. 周木律「眼球堂の殺人」
  7. 古処誠二「アンノウン」
  8. 江戸川乱歩「パノラマ島奇談」
  9. 壁井ユカコ「サマーサイダー」
  10. 詠坂雄二「インサート・コイン(ズ) 」
  11. 高山一実「トラペジウム」
  12. 朱川湊人「都市伝説セピア」
  13. 桜庭一樹「少女七竈と七人の可愛そうな大人」
  14. 高橋由太「紅き虚空の下で」
  15. 美輪和音「強欲な羊」
  16. 東野圭吾「赤い指」
  17. 西澤保彦「七回死んだ男」
  18. 根本聡一郎「プロパガンダゲーム」
  19. はやみねかおる「そして5人がいなくなる」
  20. 下村敦史「真実の檻」
  21. 河合莞爾「デッドマン」
  22. 小山田浩子「穴」
  23. 北森鴻「共犯マジック」
  24. はやみねかおる「亡霊は夜歩く」
  25. ジェシー・ケラーマン「駄作」
  26. 日高由香「ゴメンナサイ」
  27. 獅子文六「ちんちん電車」
  28. 島田荘司「御手洗潔の挨拶」
  29. 堀内公太郎「スクールカースト殺人教室」
  30. 菅原和也「あなたは嘘を見抜けない」
  31. 松下麻理緒「誤算」
  32. 小杉健太郎「神の子(イエス・キリスト)の密室」
  33. 美輪和音「8番目のマリア」
  34. 藤岡真「ゲッベルスの贈り物」