あらすじに書かれた「連作ミステリーの到達点を示す傑作長編」という言葉があまりに大胆でさすがに気になる。
そして、「フォーチュンブック」という占い書を巡る物語ということで、こういうムー的な要素が入った物語は大好物なので涎たらしながら読む。
一応短編集という体裁だけど、「フォーチュンブック」という共通のアイテムを軸に持ってきており、話はどこかで繋がっている。
という所までは最初からバレバレな状態。
人の不幸のみを予言する謎の占い書「フォーチュンブック」。偶然入手した七人の男女は、運命の黒い糸に絡めとられたかのように、それぞれの犯罪に手を染める。錯綜する物語は、やがて驚愕の最終話へ。連作ミステリーの到達点を示す傑作長篇。
引用:楽天ブックス
「フォーチュンブック」という不幸のみを予言する本とそれを手に入れた人物を軸にした話。
この構造によって、最後まで読まなくとも、一つの物語に繋がることは最初からわかる。
とはいうものの、それにしては話が散らかっている印象。
話はどんどんと風呂敷が広がって行くものの、まとめ切れなかった印象。
冒頭もヒントが過ぎる。
昭和の事件を扱っていると、三億円事件が絡んでくるのは容易に想像がつく。
そこに意外性は感じられないが、三億円事件とグリコ・森永事件の犯人が同一人物というのはさすがに大胆な説でここはすごく楽しかった。
「フォーチュンブック」というアイテムは空恐ろしく、とても魅力的な要素。
これをもっとうまく、綿密に使ってくれたらよかったな。
大風呂敷広げまくった物語だけど、もうちょっと小さなスケールの話を期待していたし、占い書というアイテムに関わっていくならその方がリアリティや、緊迫感が生まれたんじゃなかろうか。
スケールはでかけりゃいいってもんじゃないな。