北森鴻「共犯マジック」

あらすじに書かれた「連作ミステリーの到達点を示す傑作長編」という言葉があまりに大胆でさすがに気になる。
そして、「フォーチュンブック」という占い書を巡る物語ということで、こういうムー的な要素が入った物語は大好物なので涎たらしながら読む。

一応短編集という体裁だけど、「フォーチュンブック」という共通のアイテムを軸に持ってきており、話はどこかで繋がっている。
という所までは最初からバレバレな状態。

あらすじ

人の不幸のみを予言する謎の占い書「フォーチュンブック」。偶然入手した七人の男女は、運命の黒い糸に絡めとられたかのように、それぞれの犯罪に手を染める。錯綜する物語は、やがて驚愕の最終話へ。連作ミステリーの到達点を示す傑作長篇。
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

「フォーチュンブック」という不幸のみを予言する本とそれを手に入れた人物を軸にした話。
この構造によって、最後まで読まなくとも、一つの物語に繋がることは最初からわかる。
とはいうものの、それにしては話が散らかっている印象。
話はどんどんと風呂敷が広がって行くものの、まとめ切れなかった印象。
冒頭もヒントが過ぎる。

昭和の事件を扱っていると、三億円事件が絡んでくるのは容易に想像がつく。
そこに意外性は感じられないが、三億円事件とグリコ・森永事件の犯人が同一人物というのはさすがに大胆な説でここはすごく楽しかった。

「フォーチュンブック」というアイテムは空恐ろしく、とても魅力的な要素。
これをもっとうまく、綿密に使ってくれたらよかったな。
大風呂敷広げまくった物語だけど、もうちょっと小さなスケールの話を期待していたし、占い書というアイテムに関わっていくならその方がリアリティや、緊迫感が生まれたんじゃなかろうか。
スケールはでかけりゃいいってもんじゃないな。

2019年 年間ベスト

  1. 平山夢明「ダイナー」
  2. 辻村深月「小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記」
  3. 紗倉まな「最低。」
  4. 井上真偽「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」
  5. 綿矢りさ「憤死」
  6. 周木律「眼球堂の殺人」
  7. 今村昌弘「屍人荘の殺人」
  8. 市川憂人「ジェリーフィッシュは凍らない」
  9. 宮下奈都「たった、それだけ」
  10. 彩瀬まる「神様のケーキを頬ばるまで」
  11. 小林泰三「アリス殺し」
  12. 古処誠二「アンノウン」
  13. 江戸川乱歩「パノラマ島奇談」
  14. 壁井ユカコ「サマーサイダー」
  15. 詠坂雄二「インサート・コイン(ズ) 」
  16. 高山一実「トラペジウム」
  17. 月原渉「首無館の殺人」
  18. 辻村深月「きのうの影踏み」
  19. 朱川湊人「都市伝説セピア」
  20. 桜庭一樹「少女七竈と七人の可愛そうな大人」
  21. 高橋由太「紅き虚空の下で」
  22. 美輪和音「強欲な羊」
  23. 瀬尾まいこ「戸村飯店 青春100連発」
  24. 金原ひとみ「星へ落ちる」
  25. 豊島ミホ「夏が僕を抱く」
  26. 北山猛邦「猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数」
  27. 降田天「彼女はもどらない」
  28. よしもとばなな「ハゴロモ」
  29. 河野裕「いなくなれ、群青」
  30. アンソニー・ホロヴィッツ「カササギ殺人事件」
  31. 神宮司いずみ「校舎五階の天才たち」
  32. サキ「サキ短編集」
  33. 中町信「天啓の殺意」
  34. 三浦しをん「小暮荘物語」
  35. 柾木政宗「朝比奈うさぎの謎解き錬愛術」
  36. 彩坂美月「少女は夏に閉ざされる」
  37. 東野圭吾「赤い指」
  38. 小林泰三「世界城」
  39. 湊かなえ「リバース」
  40. 西澤保彦「七回死んだ男」
  41. 麻耶雄嵩「貴族探偵対女探偵」
  42. 橋本紡「彩乃ちゃんのお告げ」
  43. 清涼院流水「ジョーカー 」
  44. 清涼院流水「コズミック 」
  45. 早坂吝「探偵AIのリアル・ディープラーニング」
  46. 歌野晶午「正月十一日、鏡殺し」
  47. 西本秋「闇は僕らをつないでいる」
  48. 根本聡一郎「プロパガンダゲーム」
  49. 雫井脩介「犯罪小説家」
  50. はやみねかおる「そして5人がいなくなる」
  51. 下村敦史「真実の檻」
  52. 河合莞爾「デッドマン」
  53. 蒼井上鷹「出られない五人」
  54. 笹沢佐保「どんでん返し」
  55. 貫井徳郎「ドミノ倒し」
  56. 村崎友「夕暮れ密室」
  57. 澁澤龍彦「秘密結社の手帖」
  58. 北森鴻「共犯マジック」
  59. はやみねかおる「亡霊は夜歩く」
  60. ジェシー・ケラーマン「駄作」
  61. 大山誠一郎「密室蒐集家」
  62. 深木章子「敗者の告白」
  63. 清涼院流水「全日本じゃんけんトーナメント」
  64. 日高由香「ゴメンナサイ」
  65. 青柳碧人「猫河原家の人びと 一家全員、名探偵」
  66. 太田忠司「僕の殺人」
  67. 悠木シュン「スマート泥棒」
  68. 小山田浩子「穴」
  69. 長崎尚志「闇の伴走者 醍醐真司の博覧推理ファイル」
  70. 獅子文六「ちんちん電車」
  71. 堀内公太郎「スクールカースト殺人同窓会」
  72. 島田荘司「御手洗潔の挨拶」
  73. 堀内公太郎「スクールカースト殺人教室」
  74. 菅原和也「あなたは嘘を見抜けない」
  75. 松下麻理緒「誤算」
  76. 小林由香「ジャッジメント」
  77. 朝倉宏景「白球アフロ」
  78. 小杉健太郎「神の子(イエス・キリスト)の密室」
  79. 美輪和音「8番目のマリア」
  80. 大石圭「60秒の煉獄」
  81. 小林聡美「読まされ図書室」
  82. 藤岡真「ゲッベルスの贈り物」
  83. 矢部嵩「紗央里ちゃんの家」
  84. 浅暮三文「困った死体」
  85. おかもと(仮)「空想少女は悶絶中」