菅原和也「あなたは嘘を見抜けない」

挑戦的なタイトルが素晴らしく良き。
あまりいい印象のない、講談社タイガ。講談社文庫自体で十二分にティーン向けのいいものいっぱい出しているのに、なんでわざわざ、講談社タイガを始めたのか。理解に苦しむ。
本書「あなたは嘘を見抜けない」もあらすじから嫌な予感はしつつ、タイトルの素晴らしさに期待して購入。

結果は外れ。

あらすじ

この真相、絶対予想不可能――。

横溝正史ミステリ大賞を史上最年少で受賞した異端児が仕掛けた罠を見抜け。

僕の彼女は「嘘つき」たちに殺された――。廃墟探索ツアーで訪れた無人島で死んだ最愛の人・美紀。好奇心旺盛で優しい彼女は事故に遭ったのだ。僕は生きる意味を喪い、自堕落な生活を送っていたが、美紀と一緒に島にいた女と偶然出会いある疑いを抱く。美紀は誰かに殺されてしまったのではないか。誰かが嘘をついている――。嘘と欺瞞に満ちた血染めの騙し合いの幕が開く。
引用:Amazon「あなたは嘘を見抜けない」

ネタバレありの感想

本を読む経験値が邪魔をしたタイプの小説。
探偵役の名乗り方、露骨に童貞受けのよさそうなヒロインと、そのヒロインのわかりやすい意味深なセリフなど、メテ的な視点から構造やおおまかなトリックの想像はついてしまった。

孤島の方が主軸の話ではあるが、開かれた密室の作り方も甘く、「ロープの跡が無いからロープは使っていない」という意味のわからない断定。
その時点で、死体に紐をくくりつける、など思いつかない人々よ。
そして、真相はその死体そのものを伝って降りたという大胆すぎる犯人。
指紋取られることは考えなかったのだろうか。
小説内で、「謎が増えたように見えるが、この密室殺人を解けばそれがそのまま犯人の手がかりになる」というようなセリフがあったのですが、そんなことは全くなかった。
犯人となったのが、推理が外れた時に安堵のため息をしたから、という驚愕のもの。
もちろん、犯人は否定するんですが、いや、その前に死体にも包丁にも指紋残ってるでしょ?としか思えない。

内地の方に関しては、主人公が厨二的なサイコパスになっていく過程を見せられるだけ。

まぁ、そんなんで、なんというか解決編を読むと、「あぁ、やっぱりか」という気持ちがどんどん募ってくる。
肩透かし。
面白くはない。

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