日高由香「ゴメンナサイ」

ホラー小説。
そして、いかにもな携帯小説ではある。
携帯小説ってもっと読みづらい印象があったけど、割と読みやすい。
「セカチュー」とかもっと目滑りした覚えがあるんだけどな。
携帯小説だからと言って毛嫌いしなくてもよいのかもしれない。

あらすじ

この話は、私の身に起こった出来事です。高校二年生になった私は、黒羽比那子さんと同じクラスになりました。黒羽さんは、成績抜群ですがその幽霊みたいな風貌で気味悪がられていました。クラスでも、リーダーの園田さんを中心に、次第にいじめられるようになりました。ある日のホームルームで、黒羽さんが文化祭の演劇用にシナリオを書くことになりました。園田さんが、黒羽さんを吊るし上げるために仕組んだのです。二日後、黒羽さんが書いたシナリオを授業中に読んでいた園田さんのとりまきの一人が、急に苦しみ出しました。そして…。人気ケータイサイトに投稿され日本中を震撼させたある女子高生の告白。新たに見つかった「黒羽比那子の日記」「浦野祐子の手紙」も収録。
引用:Amazon「ゴメンナサイ」

ネタバレありの感想

魔法のiランドに掲載されていたようで、あの閉鎖的な雰囲気のネットの世界でこれを発表したアイデアは素晴らしい。
リアルタイムで読んだ人は本当に怖くなった人も多かったことだろう。

ネタとしてはほぼそのまま「リング」ではある。
ではあるけど、それをビデオから小説にし、「魔法のiランド」という舞台を使って日記調にしたというアイデアで勝利。
僕は今回紙の本で読んだんだけど、小説内でも、「誰かが自分の身かわいさで出版するかもしれません」という台詞を入れることで、携帯から離れても臨場感を残したのも上手。

ただ残念なのは、呪いの文章そのもの。
どうなんだろうなぁ、携帯(ガラケー)で見ると結構な迫力があるのかな?
紙の本で読んだ限りだとどうにもチープに見えてしまった。
呼吸を意識させる技術的な部分と、呪いだと認識させるオカルト的な部分によって完成する、というのはなかなか面白かった。
これは、守備範囲を広げたのか、狭めたのかわからないけど”それっぽく聞こえる”というのはフィクションとして正解ですよね。

黒羽さんの文章が天才的っていう設定は不要だったのでは?
第2章の黒羽さんの日記、別にうまくないもの。
頭がいいせいで、周りから疎まれるという理不尽さなんかはいい味になっているが、文章が天才的にうまいというのはどちらかというと足枷になっていた。
文章は別にうまくないけど、努力と恨みの気持ちだけで呪いの文章を書きあげられた、という方がより怖かったと思う。

映画

映画にもなってるんですね。
アイドル映画に。
アイドル映画ってホラーが多いけどなんでなんだろう。
恋愛ものにし辛いからなのかな。

これ、映画でも呪いの脚本だったり文章だったり、なんだろうか。
映画という媒体ではそれだと活かすの難しそうだけど、呪いの映像にしたらそれこそ「リング」だもんね。
気にはなるけど多分見ない。
怖いから。

まとめ

日高由香としては本書「ゴメンナサイ」しか出版していないのね、そういう企画で通したのも良き。
正直、特別面白い、ってわけではないけど、こういう本・活字の世界であることを活かした作品は好きだし、うれしくなる。

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