創元推理文庫ではあるが、ミステリー小説と思って読むとがっかりくる。
ハードボイルド小説だと思ったほうがまだ納得はできるものの、面白くはない。
というよりかは、楽しめなかった。
謎のアイドル“ドミノ”を捜して、狂躁の夏に翻弄される羽目に陥ったプロデューサーの「おれ」。人気俳優や国際的数学者など、著名人を次々手にかけてゆく殺し屋の「わたし」。五里霧中の展開の果てに「おれ」と「わたし」が出会った時、『ゲッベルスの贈り物』に関する恐るべき真相が浮かび上がる―第十回小説新潮新人賞を受賞した鬼才による、アクロバティックな第一長編。
引用:楽天ブックス
話があっちこっちに飛ぶ。
それはもちろん、スケールを大きくしようとした結果なのだろうけど、この作者にここまでのスケールの話を書くだけの技量がまだ無かったんだろう。
地に足がついていない感じ。
スケールの大きな背景の話なのにストーリー主軸が「”ドミノ”という謎のアイドル探し」という小さなもの。
それ自体は悪くないし、そういう話は他にもたくさんある。
だけど、シリアスな部分と笑える部分のバランスが悪いというか、笑わせようとしていない場面で笑ってしまう。
これは完全に個人的な問題なんですが、この作家とテンポが合わない。
相性が悪かった。
どうにも目滑りしてしまって、内容が頭に入ってこない。
軽い文体にも関わらず読み終わるまでに意外と時間がかかってしまった。
登場人物の行動に一貫性が無いというか、冷酷な殺し屋が簡単な場面でなぜ失敗するのか、とか、ドミノの撮影シーンかと思ったらAVの撮影現場だった場面必要?とか、気になる箇所がいくつか。
全然集中して読めていないのでもしかしたら何か納得のできる理由があったのかもしれないけれど。
それにしても暗号はくだらなすぎて笑ってしまった。
他でのレビュー。
割と好きな人もいるようですが、Amazonでのレビューがとにかくひどい。
★1つのオンパレード。
CGを題材に持ってきた点や、このドタバタ感、時代を考えると早かったんだろうな。
少なくとも僕が今回読んだタイミングでは、あまりにご都合主義すぎる、と感じた。