辻村深月「ぼくのメジャースプーン」

何度目だろう。
やっぱり大好きな辻村深月の「ぼくのメジャースプーン」。

世の中にはそりゃもう、たくさんの本が出ていて、その中にはまだ僕が出会っていない名作がたくさんあるんですよ。
そしたら再読なんてしている場合じゃないのかもしれない。なんて思うことは多々あるのですが、それでも何度も繰り返し読んでしまう本が何冊かあって、その内の一冊がこれ。

何度読んでも本当に面白い。
何度読んでも感動。
無人島に持っていく本だ。

あらすじ

ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった――。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に1度だけ。これはぼくの闘いだ。
引用:Amazon「ぼくのメジャースプーン」

主人公の「ぼく」は小学4年生。
大人の悪戯(と呼ぶには残酷すぎますが)によって、幼馴染の「ふみちゃん」が可愛がっていたウサギたちが殺され、それから「ふみちゃん」はしゃべらなくなってしまった。
そして「ぼく」は犯人に復讐を決意する。

感想

物語のほとんどは「子どもたちは夜と遊ぶ」にも登場した大学教授の秋山先生と小学4年生の「ぼく」のカウンセリングの様子です。

犯人に対して、何を望むのか。
重い罰なのか。
心からの反省なのか。

死刑制度問題なんかと地続きの話です。
罪とは何か、罰とは何か。
そういった事を僕たちはもっと深く考えなければいけないのかもしれない。なんて思わされてしまう。

”罪を憎んで人を憎まず”

そんな言葉が本当に正しいのか。
なんとなく、いい言葉っぽいから、耳なじみがいいから、そんな理由で人を許そうとしてしまっていないか。

とても残酷な事件ではじまった物語ではあるが、結末が本当に素晴らしい。
読んでる間はずうっとヒリヒリしていて、読んでいる間中、辛く苦しい小説なんですけど、最後で救われます。
失われた命はもちろん戻ってくることはないです。
それなのに、この結末で救われてしまうのは、僕がやっぱり「他人」だったり「自分ではないもの」に対して薄情だっていう証拠になってしまうんだけど、それでも最高の結末です。

よかった。って心から思える。
心から泣ける。
嗚咽が出るくらい泣いてしまう。

最高のジュブナイル小説です。
最高の物語です。

片渕須直監督でアニメ化してほしいです。
映画だと尺足りないからOVA化がいいな。

2017年 年間ベスト

  1. 村田沙耶香「殺人出産」
  2. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  3. ルイス・サッカー「穴」
  4. 梓崎優「叫びと祈り」
  5. 舞城王太郎「煙か土か食い物」
  6. 舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」
  7. 柾木政宗「N0推理、NO探偵?」
  8. 城平京「虚構推理」
  9. 辻村深月「名前探しの放課後」
  10. 三島由紀夫「命売ります」
  11. 森博嗣「すべてがFになる」
  12. 米澤穂信「満願」
  13. 豊島ミホ「底辺女子高生」
  14. 江戸川乱歩「江戸川乱歩名作選」
  15. 太宰治「人間失格」
  16. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  17. 深水黎一郎「五声のリチェルカーレ」
  18. 麻耶雄嵩「貴族探偵」
  19. 朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」
  20. 喜国雅彦「本棚探偵の生還」
  21. 森博嗣「冷たい密室と博士たち」
  22. 西澤保彦「殺意の集う夜」
  23. 野村美月「文学少女と死にたがりの道化」
  24. 森絵都「宇宙のみなしご」
  25. 湊かなえ「山女日記」
  26. 霧舎巧「名探偵はもういない」
  27. 泡坂妻夫「湖底のまつり」
  28. 降田天「女王はかえらない」
  29. 森絵都「気分上々」
  30. 辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」
  31. 野村美月「文学少女と飢え渇く幽霊」
  32. 辻村深月「光待つ場所へ」
  33. エドガー・アラン・ポー「黒猫」
  34. 歌野晶午「そして名探偵は生まれた」
  35. 法条遥「忘却のレーテ」
  36. 折原一「グランドマンション」
  37. 辻村深月「ロードムービー」
  38. 瀬尾まいこ「強運の持ち主」
  39. 志駕晃「スマホを落としただけなのに」
  40. 桐山徹也「愚者のスプーンは曲がる」
  41. 峰月皓「七人の王国」
  42. 湊かなえ「母性」
  43. 飯田譲治 梓河人「盗作」
  44. 伊坂幸太郎「残り全部バケーション」
  45. 折原一「遭難者」
  46. 折原一「螺旋館の殺人」
  47. 芦沢央「罪の余白」
  48. 井上夢人「魔法使いの弟子たち」
  49. ジェフリー アーチャー「百万ドルをとり返せ!」
  50. 伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」
  51. 竹吉優輔「襲名犯」
  52. 湊かなえ「境遇」
  53. 長谷川夕「僕は君を殺せない」
  54. 早坂吝「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」
  55. 蘇部健一「六枚のとんかつ」