麻耶雄嵩「貴族探偵」

麻耶雄嵩の連作短編集。
やけに評判がいいのが3編目の「こうもり」ですが、確かにこれはすごい。

あらすじ

自称「貴族」で趣味は「探偵」という謎の男が、コネと召使いを駆使して事件を解決! 斬新かつ精緻なトリックと過去に例のない強烈なキャラクターが融合した、奇跡の本格ミステリ集。(解説/千街晶之)
引用:Amazon「貴族探偵」

と、タイトルや設定だけ聞くと筒井康隆の「富豪刑事」を思い出しますが、当然全く関係ないです。
もちろん「富豪刑事」も楽しい一冊なんでぜひそちらも読んでほしい。

ネタバレありの感想

麻耶雄嵩、初めて読んだんですけどいいですね。
「ウィーンの森の物語」
「トリッチ・トラッチ・ポルカ」
「こうもり」
「加速度円舞曲」
「春の声」
の5編が入った連絡短編集なんですけど、それぞれ表情が全然違ってミステリの教科書的、というにはひねくれすぎてはいますが。
アリバイものあり、見取り図あり、首切りあり、鍵と糸のトリックありと本当に贅沢。

「どうしてこの私が推理などという面倒なことをしなければならないんだ。雑事は使用人に任せておけばいいんだよ」
引用:麻耶雄嵩「貴族探偵」

と、貴族探偵自身は、捜査はもちろん推理もせず、メイドや執事、運転手が事件を解決している。
推理をしない探偵というキャラクターは一見ふざけてるし、落ち着いて考えてもふざけてる。
そんな風に油断させられると、見事な展開ですごい力量だなと感心させられます。

「こうもり」はもちろん評判通りすごくいいミステリですが、個人的には「春の声」が読んでて、読み終わってとても気持ち良かったです。

2017年 年間ベスト

  1. 村田沙耶香「殺人出産」
  2. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  3. ルイス・サッカー「穴」
  4. 梓崎優「叫びと祈り」
  5. 舞城王太郎「煙か土か食い物」
  6. 舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」
  7. 柾木政宗「N0推理、NO探偵?」
  8. 城平京「虚構推理」
  9. 辻村深月「名前探しの放課後」
  10. 三島由紀夫「命売ります」
  11. 森博嗣「すべてがFになる」
  12. 米澤穂信「満願」
  13. 豊島ミホ「底辺女子高生」
  14. 江戸川乱歩「江戸川乱歩名作選」
  15. 太宰治「人間失格」
  16. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  17. 深水黎一郎「五声のリチェルカーレ」
  18. 麻耶雄嵩「貴族探偵」
  19. 朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」
  20. 喜国雅彦「本棚探偵の生還」
  21. 森博嗣「冷たい密室と博士たち」
  22. 西澤保彦「殺意の集う夜」
  23. 野村美月「文学少女と死にたがりの道化」
  24. 森絵都「宇宙のみなしご」
  25. 湊かなえ「山女日記」
  26. 霧舎巧「名探偵はもういない」
  27. 泡坂妻夫「湖底のまつり」
  28. 降田天「女王はかえらない」
  29. 森絵都「気分上々」
  30. 辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」
  31. 野村美月「文学少女と飢え渇く幽霊」
  32. 辻村深月「光待つ場所へ」
  33. エドガー・アラン・ポー「黒猫」
  34. 歌野晶午「そして名探偵は生まれた」
  35. 法条遥「忘却のレーテ」
  36. 折原一「グランドマンション」
  37. 辻村深月「ロードムービー」
  38. 瀬尾まいこ「強運の持ち主」
  39. 志駕晃「スマホを落としただけなのに」
  40. 桐山徹也「愚者のスプーンは曲がる」
  41. 峰月皓「七人の王国」
  42. 湊かなえ「母性」
  43. 飯田譲治 梓河人「盗作」
  44. 伊坂幸太郎「残り全部バケーション」
  45. 折原一「遭難者」
  46. 折原一「螺旋館の殺人」
  47. 芦沢央「罪の余白」
  48. 井上夢人「魔法使いの弟子たち」
  49. ジェフリー アーチャー「百万ドルをとり返せ!」
  50. 伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」
  51. 竹吉優輔「襲名犯」
  52. 湊かなえ「境遇」
  53. 長谷川夕「僕は君を殺せない」
  54. 早坂吝「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」
  55. 蘇部健一「六枚のとんかつ」