「模倣の殺意」で有名な中町信。
どこかで本書が大絶賛されていたので、読む読む。
どれも上手いな、と思ったものの「模倣の殺意」ほどの感動はなし。
7編の短編集ということで、それぞれの話は割と駆け足気味。
それでも、しっかりとトリックや魅力的な犯行現場があってさすが。
転落死した男は、勤務先でかけられた横領の疑いを苦にして自殺したと思われていた。しかし、彼の住んでいたマンションで同僚が撲殺され、事件は連続殺人の様相を帯び始める―(表題作「暗闇の殺意」)。稀代のトリックメイカー中町信の遺した短編から、書籍未収録作品を含む7編を精選。ミステリーファンに愛された作家の、絶妙なトリックと、軽妙な味わいが冴えわたる。
引用:楽天ブックス
ダイイングメッセージものが多く収録。
ダイイングメッセージって言葉としては有名な割に、実際に小説なんかで登場しているの意外と少ない気がする。
漫画やアニメや映像作品だとちょこちょこ見るのは、絵面が使えるからか。
小説で、文字だけ表現すると「角ばった文字で3と書かれていた」=「カタカナのヨ」ってわかっちゃったりするし、かといって「3と書かれていた」じゃアンフェアだし。
あと、ダイイングメッセージが残されてた理由付けも難しそう。
「なんで犯人は見逃したんだ?」や「なんでこんなにわかりづらいメッセージなんだ?」などなどで。
そんな中、本書ではなかなか素敵なダイイングメッセージの数々が。
多少の不自然さや甘さはあるものの、十分魅力的だ。
特に、「濁った殺意」での写真を使ったプレーはあざといもののファインプレーなんじゃないでしょうか。
「裸の密室」はタイトルが示す通り密室ものですが、昨今では珍しくないタイプのトリックで、想像ついてしまっていて驚きは無し。
リアルタイムで読んでいたら全く違った感想かもしれませんが、しょうがないね。
短編にも関わらず、エピローグやプロローグが挿入されており、作者のドラマ性に対する熱い想いが感じられる短編集。
良き。